精神科Q&A

【1573】思考障害はひきこもりのせいだと言われているのですが、統合失調症の薬を飲んだほうがいいのではないでしょうか


Q:  私は20代後半の男性です。19歳の時、精神病を発病し、自殺未遂により3ヶ月間入院した経験があります。その時は被害妄想がひどく、家族が食事の中に毒を入れているという妄想がありました。正式な病名の通達はなかったものの、その時の自分の症状や、薬から考えるに統合失調症だったのではないかと推測しています。
 退院後は自己判断で通院をやめてしまい、翌年そのまま大学進学しました。大学院入学直後、自分は人より劣っている、プレゼンの資料が読めない、人の目が怖いなどからパニックを起こし、院を中退。再び精神科にかかりました。最初はうつ病という事だったようですが、その後身勝手な発言、安易な自殺未遂などが見られるようになったため、人格障害の疑いがあると家族には説明されたようです。しかし、最初に見てもらっていた病院が閉業してしまったため、その後自宅から近いメンタルクリニックを受診し続け現在に到っております。現在の病院に移ってから正式な診断名は下されていませんが、処方されている薬から判断するとうつ病として扱われていると考えられます。処方されている薬はアモキサン50mg、ソラナックス0.4mg、入眠時にハルシオン0.25mg、トレドミン0.25mgです。以前はリボトリールも処方されていましたが、昼間の眠気が余りにひどく、何度か職場で倒れたことがあるので現在は処方されていません。 2年間ほど引きこもった後、簡単なアルバイトとサークル活動を始め、さらに2年後の今年の3月から昼間働きながら資格を取るべく夜間の専門学校に通う生活を始めました。サークルや学校では幸いなことに友人にも恵まれております。 今のところ仕事も学校も無遅刻無欠席で過ごせていますが、以下のような症状があります。 

・気分の波が激しい。大体一ヶ月単位で気分の波が入れ替わり、落ち込むと自分の殻に閉じこもってしまいがちになります。そうでない時は気分よく、日常生活を営む事ができます。 ・人が何を話しているのかわからない。仕事・趣味のサークルに関わらず、人の話している内容がばらばらになっているように感じ混乱してしまう事がよくあります。そのせいで、仕事でもミスが多く、なかなか仕事を覚える事ができません。また、自分の受け答えがトンチンカンで相手を困惑させる事が多いと感じています。留学している人はこんな気持なのか、とか自分はまるで他の星から来た人みたいだな、と思い猛烈な孤独感に苛まれます。 ・考えがまとまらない、脳が暴走する感じがする。自分の感情がよくわからくなる、何を考えていたのかがわからなくなる事がよくあり、パニックを起こす事があります。また、夜寝る前などいろいろな考えが多く思い浮かび、制御できない感覚に襲われます。この症状が一番辛く、頭を壁に叩きつけたくなる衝動に襲われます。 ・物覚えが異常に悪い。五分前に言われたことを覚えていなかったりします。メモをしても、メモをしたこと自体を忘れてしまうような有様です。 ・異様な眠気に襲われる人と話している時など、ありえないようなタイミングで寝てしまう事があります。 

上記のような症状のため、業務に支障が出てしまい多くの同僚に迷惑をかけている状態です。せめて眠気だけでも取りたいとのことで現在薬を減らしてもらっている方向にあるのですが、ひどい被害妄想(職場の誰々が自分を辞めさせようとしている、など)があらわれてしまったりしています。その被害妄想自体は2日間で憑き物が落ちたようになくなりましたが、脳が暴走する感じは常にあり、自分で自分が信用できず、とても辛いです。 担当医にも何度も「自分は統合失調症なのではないか」「薬の処方を統合失調症のものにした方がいいのではないか」と話しているのですが、医師は「引きこもりの期間が長すぎたからまだ社会生活に慣れていないだけ。時が経てば治る」としか言いません。私としては時が経てば経つほど上記の症状がひどくなっていくような気がするのですが…。 家族は他の専門機関にあたり、脳の検査をしっかりした方がいいのではと言っています。私としては、統合失調症が慢性化しているのではないかという危惧があり、このままの処方でいいのか疑問が残っています。この思考障害は本当に引きこもりによるものであり、このままの生活を続けていればいつかは治る日がくるのでしょうか。


林: 19歳の精神科入院時の症状が、今のあなたの診断にあたってはひとつの決め手になります。当時は病名を告げられなかったとのことですが、

自殺未遂により3ヶ月間入院した経験があります。その時は被害妄想がひどく、家族が食事の中に毒を入れているという妄想がありました。

この症状と、19歳という年齢からみて、統合失調症の可能性が最も高いでしょう。
したがって、

退院後は自己判断で通院をやめてしまい、

そのために再発したと考えるのが普通です。
現在の症状としてこのメールに書かれている内容の多くは、いわゆる非特異的なものですが(つまり、原因としてはいろいろ考えられ、特定の病名を示唆するものではない)、時おり被害妄想が顔を出すことと、19歳のときにかなりはっきりした統合失調症の症状があったことを合わせると、現在の症状もまた統合失調症によるものとして矛盾はありません。したがって、

医師は「引きこもりの期間が長すぎたからまだ社会生活に慣れていないだけ。時が経てば治る」としか言いません。

この医師の判断には全く賛同できません。

この思考障害は本当に引きこもりによるものであり、このままの生活を続けていればいつかは治る日がくるのでしょうか。

このままでは治る日は来ないでしょう。
別の医師を受診し、しっかりした診断と治療を受けるべきです。そうすれば将来に十分希望が持てると思います。


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