精神科Q&A

【1542】『擬態うつ病』は難しい?


Q 21歳男性です。林先生の著書『擬態うつ病』を読みました。他のうつ病の本とは全く違ったユニークな内容で、読み進めるうちに、目からウロコが落ちる思いを何回もさせていただきました。ただ、この本は文章が難しすぎるように思いました。僕の両親にも読んでもらったのですが、同じような意見でした。ですので、もっとやさしく書いていただければもっと良かったと思います。是非もっとやさしい本を書いてください。お願いします。


林: このメールは擬態うつ病の初版の出版直後、つまり2002年初めにいただいたものです。当時は擬態うつ病についてのご感想メールをたくさんいただいたのですが、このような、「難しい」というご指摘は、この【1542】一通のみでした。つまりこれは例外的なご感想といえるかもしれませんが、だからといって軽視していいということにはなりませんし、また、本をお読みになった方のすべてが感想メールをくださるわけではありませんので、もっとやさしい書き方の本も出すべきではないかという気持ちはずっと持っていました。
 けれども、本というのは商品ですので、私がいくら出したいと考えても、出版社の方が「それは売れない」と判断すれば、出すことはできません。そんなこともあって(それだけが理由ではありませんが)、ずっとそのままになっていましたが、2009年2月出版の それは、「うつ病」ではありません! (宝島社新書)は、文体としては全く新書らしくない軽いものになっていますので、是非この【1542】の質問者の方にお読みいただければと思います。といっても、メールをいただいたのは7年も前ですので、いまさら・・・と言われるかもしれませんが。(私も【1542】のメールがあったこと自体は記憶にあったのですが、なかなか発見できず、昔のファイルの中からようやく見つけ出しました)

それはそうと、それは、「うつ病」ではありません!  は、文体は軽く読みやすい(というよりむしろ軽薄な感じの文体)ですが、内容はきわめて重いものです。うつ病にかかわるすべての人、うつ病という言葉をご存知のすべての人にお読みいただければと私は願っています。


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