精神科Q&A

【1534】私は超能力を持っているような気がします


Q:  私は30代女性で、統合失調症と診断されています。最近、夫や職場の理解と支えにより、精神的に強く明るくなれたような気がします。また、サークル等で趣味を通じて知り合った仲間と語り合ったり、インターネットで同じ趣味の仲間と交流するようになりました。もともとコミュニケーションが苦手で、人と世間話をするということができなかったのですが、仕事の話や趣味の話は普通にできます。最近、少しばかり変人でも、自分の能力を社会のために生かせるのではないか、と気付きました。結婚する前は、ハロペリドールを飲んでいました。その頃は何も感じることができませんでしたし、記憶もあまりありません。でも、母もいましたし、服薬も絶やさずしていましたので、仕事には行けていました。職場の理解もありました。結婚した頃から、私の症状は良くなりました。母は厳しい人でしたが、夫は包容力のある人なので、それが良かったのかもしれませんし、本当に心から愛した人と結ばれたことが良かったのかもしれません。まだ子供はいません。その後、ハロペリドールからリスパダール、ジプレキサと薬を変えました。ジプレキサに薬を変えたとき、当初は10ミリでしたが、仕事が忙しくなりプレッシャー等で妄想がひどくなりましたので、15ミリに変更しました。その後、また10ミリに戻り、7.5ミリに減りました。 夫の支えと職場の理解。仕事も趣味も今のところは順調です。家事はほったらかしですが、休みの日にまとめてしています。
 さて、これは発病したときからずっと私の頭を離れなかったことですが、私は病気というカテゴリーには入っているけれども、一種のテレパシーを持っているのではないかということです。社会通念としてはもちろん病気だけれど。仕事はできていること、対人関係が良好なことからして、薬の量は減っているけれども、再燃のようには感じません。テレパシーを持っていると感じるのは病気になってからずっと思っていたことですが、最近では確信に変わっています。けれども、人から迫害されるとか、人に危害を及ぼしそうだとかそういうことはなく、むしろ、薬が減ってから明るく生き生きしているように思いますし、記憶力も感性も戻ってきているように思います。 薬はとりあえず今の量を飲み続け、2週間に1度は精神科の主治医のところへ通おうと思っています。ただ、テレパシーを持っているというのが確信に変わってきているため、一種の再燃なのではないかという不安もあります。 家族以外には、私が精神科へ通っているということを知らせていません。職場では少し変人かもしれませんが、個性の範囲内だとみんな割り切ってくれているようです。職場の理解と書いたのは、病気に対する理解というよりは、人間の多様性に対する理解ということです。それ以外の友達には、変人とすら思われてはいないと思います。 ここでお聞きしたいのは、私がテレパシーをもっているかどうかという現代科学では説明のつかないことではなく、私のこの症状が再燃かどうかということです。 長い文になりましたが、ご回答のほどよろしくお願いします。


林: テレパシーを持っているというあなたの確信は、統合失調症の症状です。薬を減らしたことに伴って、それまでの漠然とした感覚が確信に変わったのであれば、統合失調症の再燃と解釈するのが自然です。

むしろ、薬が減ってから明るく生き生きしているように思いますし、記憶力も感性も戻ってきているように思います。 

これは、薬を減らしたことによって統合失調症が悪化した場合、ないしは悪化する直前の、典型的な自覚的体験です。統合失調症 患者・家族を支えた実例集 のケース23にもお書きした通り、薬を減らした当初は、今までになく頭がすっきりして良くなったように自覚されることは非常によくあることです。そこから再燃(幻覚・妄想の悪化)までは、ほとんどあと一歩です。

おそらくジプレキサ7.5mgという今の服薬量は、あなたにとっては少なすぎるのだと思います。今の状態を主治医に正確に伝え、薬の量を調整してもらってください。


精神科Q&Aに戻る

ホームページに戻る