精神科Q&A
【1516】海外での高額な医療費に悩んでいます
Q: 30代の双極性障害(躁うつ病)の女性です。数年前から治療、服薬を始め、現在リチウムとセロクエル等で比較的落ち着いた状態が続いています。ただ、家庭の事情で海外在住中であり、また今後も長くこちらに住むことになりそうです。もちろんこちらで通院していますが、医療費が日本と比べ非常に高く、加入可能な民間保険の殆どが既往症は対象外となるため、すでにかなりの額の医療費を自己負担している状態が続いています。(診察費も含め、聞かれたら驚くほどの額です。)日本滞在時に通院していた医師とは定期的に連絡をとっていますが、(現状の報告や相談などのため)こういった点に触れたことはありません。
日本に住民票は残し、国民健康保険も加入のままにしてありますが、たとえば、日本の医師に電話診療を受け、家族の代理のものが薬を受け取り、定期的にこちらに郵送してもらう、などということは、可能でしょうか。もちろん、緊急時に対応してもらうこちらでの医師や医療機関との連絡もとりながら、という形でです。)不可能だとすると、他に代替案はあるでしょうか。せっかく状態が安定してきているのに、医療費に関する不安だけはぬぐえません。短い回答で結構ですので、おわかりの範囲で、どうぞよろしくお願いいたします。
林: 海外での医療費の高額さはよく言われることです。逆に言えば、日本の医療費がいかに安く、したがって、日本の医療制度がいかに優れているかということになります。現に、WHOも日本の医療を高く評価しており、それは不思議なことにあまり日本では知られていないのですが、厳然たる事実です(この事実を広く知らせることこそ、厚生労働省が他の何よりも優先してすべきことであったと私は考えています)。しかし昨今の国内事情を見ますと、この優れた医療制度が維持されることは難しいようにも見えます。原因はいろいろ考えられますが、優れた医療制度に甘えきっていた(そして不平を主張し続けていた)人々が多数であったことが大きな原因であることは否定し難いと思います。
それはそうとこの【1516】ですが、残念ながら、その国に滞在している限り、その国の医療費を支払う以外に方法はないでしょう。
日本の医師に電話診療を受け、家族の代理のものが薬を受け取り、定期的にこちらに郵送してもらう、などということは、可能でしょうか。
それは不可能です。薬を郵送することは原則違法です。(特殊な事情のある薬や、または、何らかの特殊な方法をとれば可能かもしれませんが、原則としては違法なので不可能です)
したがいまして、その国に滞在中は、その国の制度に従い、たとえ高額でも医療費を支払う以外にありません。
但し、海外で支払った医療費の一部が帰国後に払い戻される場合があります。
続きを読む(2009.3.5.)