精神科Q&A
【1464】 突発性難聴はうつ病の症状でしょうか
Q: 私は25歳女性です。一昨年の事になりますが、
○何もする気が起きない
○物事を集中、整理して考えることができない
○常に焦燥感、悲壮感にかられていて気持ちが休まる時がない
○字を読む事ができない
○人の話の意味が理解できない
○寝付けず、夜中に何度も目が覚める
などの症状で精神科を受診したところ、「うつ病」と診断され、治療を受けました。
休職をすすめられたのですが、会社に病名を伝える事にどうしても抵抗がありできませんでした。
パキシル20mg 毎食後 リーゼ ロヒプノール 就寝前 の処方を頂いて2〜3ヶ月程過ぎた頃から上記のような症状はおさまってきたのですが、今度は
○突然思いついたことを実行しないと気が済まない
1番大きな事柄では、休みもとれず予定も立たないのに突然バイクの免許を取りたくなり、その日の内に教習所の申し込み、バイク(新車)を購入手続きをしてしまいました。
○発作的な焦燥感
自室や職場に一人でいると急に落ち着かなくなり、叫びだしたい気持ちが押さえられず室内をぐるぐる歩き回って気持ちを抑えました。
○イライラ、怒りっぽくなる
周囲の物事などがやたらと目に付き、攻撃的な気持ちになる。
という症状が現れ、主治医に相談したところ「躁状態」との事で、リーマス200mg 毎食後 に処方が変更されました。
幸い、私にはリーマスがとても合っていたようで、服用を2ヶ月程続けたところで上記のような症状はほとんど気にならなくなり、ほぼ以前と同じように生活できるようになりました。
本題ですが、先日職場でショックな出来事があり、しばらくしてから低音の耳鳴りが常に続く状態になり、おかしいと思って耳鼻咽喉科を受診したところ「突発性難聴」と診断されました。
忙しい中ではあったのですが、会社に話して1週間の休暇をもらう事ができ、聴力は回復したもののめまいや吐き気、耳の違和感などの症状が思うように良くならず、耳鼻咽喉科の先生には突発性難聴は原因不明の症状であり、ストレスを溜めやすい私自身の性格が原因として大きいのではないかと指摘を頂きました。
今現在も、耳鼻咽喉科に通院、投薬治療を受けている状況です。
そこで、林先生にお聞きしたいのですが
(1) 耳鼻咽喉科の先生の言うように、心理的な要因で症状が現れているのであれば、病院を耳鼻咽喉科から精神科に切り替えるべきでしょうか?
(2) 突発性難聴自体が、もしかしたらうつ病が再発したための二次的症状であるのではないかと考えています。最近は以前のような耐えられない悲壮感は無いのですが、考えてみると少し変調があったようにも感じます。以下が変調の内容です。
○3ヶ月程前から睡眠時間が増え、眠っても眠っても足りない状況が続いている。
仕事から帰って来て食事を取ると、そのまま着替えも入浴もせず倒れこむように眠って
しまい、朝まで目覚めません。休日は食事、トイレ以外は起き上がる気がせず、1日
ずっと寝ています。ただし、その事に関して苦痛に感じたりすることはなく、いくらでも眠っていられます。
○集中力がなく、頭が働かず、動作が鈍く、何度も同じ事を間違えたり、繰り返したりします。
ただし、以前のように字が読めなくなる、話の内容が解らなくなるような事はありません。
○掃除、身の回りの整頓などをする気にならない。
以上です。長くなり恐縮ですが、よろしくお願いします。
林: あなたの診断名は躁うつ病だと思います。うつ病の治療を開始してから、このように躁状態が出現した場合、薬の副作用の可能性も考える必要がありますが、記載されている症状からみて、副作用ではなく、もともと躁うつ病で、一回目の病相がうつ状態、二回目の病相が躁状態だったと解釈するのが妥当でしょう。したがって、リーマスによる治療は適切だと思います。
突発性難聴は、多くはストレスをきっかけにして現れますが、真の原因は不明なことが多いものです。ただこの【1464】では、躁うつ病の診断がほぼ確実ですので、突発性難聴はその一症状とみるべきです。したがって、躁うつ病の治療によって、難聴も改善することが期待できます。現在、精神科で治療を継続しているか否かが不明ですが、もし耳鼻科だけにかかっておられるのであれば、当然、精神科で躁うつ病の治療を受けるべきです。
(1) 耳鼻咽喉科の先生の言うように、心理的な要因で症状が現れているのであれば、病院を耳鼻咽喉科から精神科に切り替えるべきでしょうか?
答えは上記の通りです。
(2) 突発性難聴自体が、もしかしたらうつ病が再発したための二次的症状であるのではないかと考えています。
その通りだと思います。