精神科Q&A

【1444】一日中飲酒し、ガリガリにやせている義兄


Q:  私は義父70代の家庭に年に2度ほど泊まりにいきます。同居の未婚の義兄40代後半ばが、アルコール依存症ではないかと疑っています。 普通に会話ができず、対面恐怖症ぎみと思われましたが、酒を飲んでいるなら会話できるようです。仕事はしているようですが、派遣肉体労働らしく、仕事について、話しません。ガリガリに痩せていて、食事をほとんどしない。3日間だけの滞在でしたが、あびるように毎日飲んでいる姿には、びっくりしました。 最近、酒を飲みながら私と会話が成立するようになりましたが、震えている上、ろれつがいつも回らない状態です。私は飲めないので、あいづち程度をうってました。 「どうして飲めないの?自分は朝も昼も夜も飲まないとやっていけない」 と言われ、そんなに飲んでいて大丈夫なのだろうかと思っています。 義兄は夫とも義父とも会話はほとんどなく、献身的な義母とは会話しています。私に卑猥なことを言ってきたので、あとで、夫に「義兄はアルコール依存症ではないか」と聞いたところ「そうだ」とのこと。 将来、義両親の介護のことも考えているので、義兄をちゃんと見てもらってはどうか、ともちかけました。 夫から義母に話をすると泣いて「自分もどうしようかと思ってた」と感謝したとのことですが 次の日には二転三転して、義父が「何も悪いところはない。やせているのは、酒のせいではなく、働きすぎのせい」ということになりました。 夫もひるがえり「性格的に問題があるかもしれないが、兄は健康だ。君のほうが精神的に病んでいるのでは」と言われ何がなんだかわからなくなりました。 義父は、20年くらい前に酒におぼれて事故を起こしたことがあるといいますが、今はたちなおっています。夫は、アルコールをたしなみますが、昼からは飲みません。ただ、イライラすると指の先を血まみれになるほど剥く癖があり、いつも、指先は、ぼろぼろです。 私は、結婚前軽い不眠で心療内科に行き、よくなったので、義兄も一度見てもらってはと思ったのですが、「そんな異常者は家にはいない」と義父はのべ「実家をキチガイ扱いした」と夫は立腹してます。 がりがりに痩せていて、一日、ほとんど食事をとらず、飲んでいて、対人恐怖症ぎみ、という状態で、正常ということがありうるのでしょうか。 義兄はアルコール依存症ではないのでしょうか。暴力的というよりはむしろ、極度にいつもおびえていて、おとなしい状態です。 別に病気でもなんでもない。そうならば、こちらも安心なのですが。


林: お義兄様はアルコール依存症です。それもかなり重度です。アルコールをやめる以外に回復の方法はありません。しかしご本人のみならず、ご家族もそれを否認しているようですので(そういうケースはしばしばあります)、このままでは回復はきわめて困難です。

別に病気でもなんでもない。そうならば、こちらも安心なのですが。

この状態を目の当たりにして、「安心」などと言っているようでは、あなたも否認の病理に巻き込まれていると思います。回復はますます期待できません。すでにこのケースの現実は悲惨ですが、その現実から目をそむければ、もっと悲惨な帰結があるばかりです。


精神科Q&Aに戻る

ホームページに戻る