精神科Q&A
【1350】夜になると人格が変わる中1の息子
Q:
七歳の時に学校や家でのストレスが原因とも考えられていますが、突然錯乱し発狂し小児専門の精神病院へ半年入院致しました。
病名は神経症、躁うつ病、解離性障害、などいろいろと言われ変わったりもしました。当時は本当に人格が変わり、赤ちゃんになったり三歳の自分になったりまったく知らない大人の男性や、五人くらいの人格または動物になったりしました。普段は何でもなく、どこから見ても普通の健康なはきはきした男の子でした。いきなり失神したり、記憶が部分的に飛んだり、声がでなくなったり、自殺しようとしたり、トイレなどで目や口をあけたまま固まって動けなかったり、母親の私を認識出来なかったり、鏡に写る自分をみてパニクってしまったり、幻覚がひどく気持ち悪いものばかり見えて錯乱したりと、とにかく人間が壊れるとこうなるのかと思うくらいひどく絶望的でした。
退院後、転校してクリニックも近くに変わり、突然症状がおさまりました。カウンセリングをしてもらい、薬が全く変わったのでした。ルボックスを処方され朝晩それを１錠ずつ飲ませただけでしたが、その日以来、激しい発作は全く起きなくなり、ごく普通の生活を送れるようになりました。一年半くらいから薬もなくなり、なんとか元気で完治したかのようにみえましたが、六年生になってから思春期にさしかかり反抗期も重なり、ちょっとしたことでキレるようになりました。また薬を出してもらうようになり、少しはおさまりましたが、不安定な時が時々ありました。
無事中学入学して大好きなバスケの部活に入り、一生懸命励み、二ヶ月目くらいまでは、すべてにやる気満々で楽しそうに通学してましたが、だんだん体調の不調とやたら家族に対して、すごいキレ方をしてものを投げたり、蹴飛ばしたり、大声を出すようになりました。よくよく聞いてみると、部活でいじめにあってるということでしたので、しばらく様子をみておりましたが、毎日吐いたりお腹や頭を痛がり、とうとう登校拒否になりました。
学校とも話し合い、サポートしていただきましたが、部活も辞めざるおえなくなり、しかし本人は１番好きなことでしたので諦め切れず、転校を希望したため、この夏休みに手続きをして、新学期より新しい中学が決まったところです。しかし病状はだんだんひどくなり、塾などへ行っていても、数学などとてもよく出来ていた計算などが突然頭が真っ白になり、やり方を思い出せなくなるというのです。大好きなバスケもあちこちで練習しておりますが、とても得意なシュートの仕方をやはり全くわからなくなった、忘れてしまったとパニクるのです。とにかくキレると顔付きや話し方まで変わり、まるで殺人鬼のような顔で、私は凍り付いてしまいます。この子は私の息子ではない！全くの別人だと感じます。発症時のように人格が何人も変わるわけではないですが、凶暴になり今にも殺されてしまうのではと感じます。安定剤を何種類も変えてもらいましたが、夜だけ飲ませますが、それらや不眠症なので睡眠導入剤や睡眠薬をのませると、よけい妄想や幻覚がひどくなり、今は毎晩本人も周りも苦しい日々です。昼間は全くなんでもないし元気に友達とも遊び、家族とも釣りにたびたび出かけては知らない人たちとも楽しく交流したりしているのに、なぜか夜、10時くらいをまわると不安定になってきます。支離滅裂なことを言ったり妄想やひどい幻覚で錯乱します。安定剤や睡眠薬を飲ませても飲ませなくてもなかなか眠れず明け方やっと寝付き、昼過ぎまで寝足りして昼夜逆転してしまっています。なるべく早起きをさせて釣りに連れていったりしていますが、新学期が心配です。
ドクターにも相談していますが、今はルボックスも出していただき、これは大変息子にはあっていて昼間普通でいられるのはこの薬のおかげと思っています。ただ１番困っているのは夜で、睡眠が出来て幻覚を止めることができないものかと、本人も辛そうですし私たちも限界です。頭痛は小さい時から多く、仮病かと疑うくらい毎日でしたが、本人は本当に痛いらしく薬を飲みますが、半ば暗示にかけて治るよとこちらがいわないと効き目がないみたいです。被害妄想が激しく、嫌なことからは逃げたがり、かたづけも苦手です。好きなことには集中し一日でも飽きません。人とトラブルと相手を許すことが出来ず殺したい程憎みます。家族でもそれ以外でも。ふだんは小さい子供や年寄りや小動物には大変優しく、部活や団体の中では真面目に謙虚です。自信過剰気味な部分と全く逆のとこを持っています。ありえない位の夢や希望、理想を抱いていて、必ず自分はそうなると深く信じ込んでいる割には勉強や宿題などは全く努力しませんし、課題でさえもいやがりやりません。とにかく毎日自分の好きなことだけしかやりません。周りからはしっかりしたいい子だと、元気な、ごく普通の子供にしか見られていません。息子の病はやはり統合失調症ではないのでしょうか？ドクターはそうではないだろうとおっしゃいますが、このコーナーを詳しく読んだら、全て息子と重なることばかりです。将来は鉄格子の病院や刑務所行きなのか、私は毎日のように息子をと死んでしまおうかと思い悩んでおります。
林: 主治医の先生の方針に従うことが第一と思います。
息子の病はやはり統合失調症ではないのでしょうか？ドクターはそうではないだろうとおっしゃいますが、このコーナーを詳しく読んだら、全て息子と重なることばかりです。
とお書きになっていますが、メールを読む限りでは、統合失調症と重なる症状は全く見当たりません。但し、
よけい妄想や幻覚がひどくなり、今は毎晩本人も周りも苦しい日々です。昼間は全くなんでもないし元気に友達とも遊び、家族とも釣りにたびたび出かけては知らない人たちとも楽しく交流したりしているのに、なぜか夜、10時くらいをまわると不安定になってきます。支離滅裂なことを言ったり妄想やひどい幻覚で錯乱します。
この「妄想、幻覚、支離滅裂」は、用語だけから見れば統合失調症の症状にぴったりのように見えないこともありませんが、具体的な内容の記載がありませんので判断は不可能です。(「幻覚」「妄想」「支離滅裂」のように、用語だけで書かれていても、診断のための情報としての価値はほとんど皆無です。常に具体的な内容の記載が必須です)
いま「判断は不可能」と言いましたが、日中は全く問題なく、夜だけが豹変するというのは統合失調症らしくありませんし、また経過全体を見れば、これは解離性障害としてすべて辻褄が合います。(但しここでも質問の第一文、「七歳の時に学校や家でのストレスが原因とも考えられていますが」の内容の具体的記載がほしいところではあります)
「息子は統合失調症ではない」と一方的に主張するご家族はとても多いのですが、この【1350】は質問者はその逆の一例になっていると言えます。
どちらにせよ、本やネットなどの知識に基づいて診断をつけ、医師からその診断が否定されているのにもかかわらずそれにこだわり続けることは、最悪の経過を招くのが常です。したがって結論は冒頭に書いた通りです: 主治医の先生の方針に従うことが第一と思います。