精神科Q&A

 【1339】カラオケやプラモデルには熱心な夫は擬態うつ病でしょうか


Q:  夫(50歳)のことで質問します。私は妻(48歳)です。 
夫は、5年前に、芸術系の仕事から、まったく畑違いの事務・総務職に転職しました。転職の理由は、自ら作った借金の返済のためでした。そして勤めて3年経つころから、毎日の通勤ラッシュが苦痛だと洩らすようになり、仕事帰りの飲酒が進むようになり、深夜帰宅、朝帰りが頻繁になりました。 
遅刻、欠勤が増え、通勤途中で気分が悪くなり途中で引き返したりを繰り返しているうちに、まったく出勤しなくなりました。昼夜逆転の生活になり、体の不調を訴えるようになりました。 
10ヶ月前に精神科クリニックで「うつ状態」と診断されるまでは、「うつ」とは思わず、血圧も高く手足の冷えや痛みを訴えるので循環器科のクリニックに通っていました。(カルデナリン、デパス)
もともと自分からは、なかなか病院を受診しようとしないので、私が散々言ってやっと重い腰を上げる状態です。精神科ではパキシルとデパスを処方されています。 
ただ、薬は頂いても、ほぼ毎日のように飲酒をしてきたので、薬をきちんと飲まない日もありました。飲酒が薬を飲むことの妨げになることもわかっているのでしょうが、出来ないようでした。 
また夫は、「うつ状態」と診断されてからも、それまで続けていたカラオケには、せっせと出かけて行ったこと、好きなプラモデル作りを続けています。これは擬態うつ病にあたるのでしょうか。 
早朝4時ころ起き出してプラモデルをやり、朝食後、今日は午後には職場へ行くんだと言いつつ寝てしまう。 
昼食後出かけるかと思えば、ワイシャツを着てはすわり、ズボンを穿いてはすわり、歯磨きに時間をかけて、結局行かなかったり、出かけてもカラオケをして帰ってくるなどの繰り返しでした。 
もっと不思議だったのは、うつの人は、他の人に会うのを嫌がると聞いていたのに、ネットでカラオケサークルに入り、オフ会という集まりにはちゃんと遅刻もせずに出かけて行ったことです。 
変だと思いながら、ぼんやりしていたり、気分が沈むんだと言う夫よりもカラオケでも、とにかく何かしようとしているなら良いことなんだと思っていましたが、「擬態うつ病」に当てはまっているようで、疑問がわいています。でも寝てしまう時は、体が起きていられないようで辛そうです。 

こういう状態は夫は今かかっているDrには話していないと思うのですが、このままでいいのでしょうか。 
2週間前、初めて一緒に精神科のクリニックへ行きましたが、飲酒を毎日のようにしていることを夫はDrに話していませんでした。また、薬が飛び飛びになっていることも話していません。私が一緒に行った事で、飲酒のことも話す気になったようです。禁酒を勧められ今やっと禁酒2週間目です。 
今まで徐々に増えていたパキシルがこの時20mg2錠になりました。 
もし、「本当のうつ」でないとしたら、うつの薬を飲み続けて大丈夫なのでしょうか? 

夫を見ていると、ああやっぱり「うつ」なんだなと思えたり、これって「うつ」なの?もしかして違う?と思えたり。振り回されているようで、私が変になりそうです。どのように対処すればよいのかアドバイスをお願いいたします。


林: 仕事は出来ないが、自分の好きなことはかなり熱心かつ精力的に出来ることなどから、擬態うつ病の可能性は確かに高いと思います。
けれどもそれ以前に、飲酒のことや、薬をきちんと飲んでいないこと、しかもそれを医師に伝えていないことが大きな問題です。このような治療態度では、仮にうつ病だったとしても、治る見込みはありません。また、このような治療態度からは、擬態うつ病の可能性が高いということも出来るでしょう。

どのように対処すればよいのかアドバイスをお願いいたします。

まず事実を整理し、それを医師に正確に伝えるとともに、あなたとご主人の間でも共通認識にすることが必要でしょう。もしご主人がそれを避けようとするようであれば、改善の見込みは薄いと言わざるを得ません。


精神科Q&Aに戻る

ホームページに戻る