精神科Q&A
【1229】次男が生まれてから落ち着かなくなった3歳の長男
Q:
私は30代で、3歳7ヶ月と9ヶ月の二人の男の子を持つ母です。長男の行動について、この一年ほど悩んでおります。落ち着きが無く、ふざけているような行動をする事が多く、興奮しやすく、それがなかなか収まらないのです。
特に気になりだしたのが、次男が産まれる前後あたりからです。
常にイライラと落ち着かない様子で、大声や奇妙な声で歌ったり喋ったりしながら遊んだり、わざと悪い事(ガラスに物を投げるなど)をして、叱るとヘラヘラ笑って体を仰け反らせふざけたりします。
『ダメよ』と優しい声で注意すると、全く聞こえていないような素振りでイタズラを続けるので、『聞こえていますか!』と強い口調で聞くと『聞こえてるよ』と答えるので、聞こえてはいるようです。
お友達と遊んでいるときにも、戦いごっこが好きなせいもあるのでしょうが、相手に叩く、蹴るなど(ただし、力は加減してやっているのは見ていて分かります)ちょっかいを出し、相手を怒らせてしまうことが多いです。
私が止めに入ると、身を捩じらせて反り返りながら呆けたような顔で(下の子のマネをしているようにも見えます)ケタケタと笑い、お友達に『○○くん、大丈夫?』と心配される事もしばしばです。
私が見ても、正直気味が悪くなるような態度です。
また、スーパーなどの出先で突然居なくなり迷子になる事が多いです。
自分の目当てのオモチャなどを持って、私を探しに来るようで、以前よりは随分回数は減ったのですが、それでも最近でもしばしばあります。
また、下の子が一緒では無いおでかけの時には、飛んだり跳ねたり走ったり、ぶら下がってきたり、飛びついてきたりと、とにかく落ち着きません。(下の子が一緒の時には、ちゃんと歩き、荷物を持ってくれる事もあります)
私と話をするときにも、目つきに落ち着きが無くキョロキョロしたり、口をパクパクさせたり、目をパチパチとチックのようにさせたりします。
何か心に不安でもあるのか、『ママ、○○くんのこと好き?』とか『○○くんがいて嬉しい?』、『○○くんが大事って言って』など毎日のように言うので、ひざにのせて抱きしめ、『ママは、○○くんが大好きだし、一番大事だよ』と言って頭をなでているのですが、息子の症状(行動?)は、一進一退を繰り返す感じで、改善している気がしません。
アスペルガーやADHDを疑い、本を読んだり、発達専門の先生や小児科の先生にも相談して息子の様子を見てもらい、発達テスト (私がチェックリストに答えるテストと、実際に息子が丸や×を書いたり、先生に問診をしてもらうテスト)をしてもらったのですが、いずれの先生も『発達上の問題は全くありません。元気で活発ですが、多動では無いと思います』とのことでした。
念のために、1ヶ月ほど前から通い始めた幼稚園の先生にも園での息子の様子をお伺いしたところ
『お友達との戦いごっこが好きで元気いっぱいの印象ですが、大事なお話や座って居なければならない場面では、きちんと席に ついてお話を聞けているし、身の回りの事もとても上手に出来、お友達と貸し借りも 出来ますし、お買い物ごっこなどごっこ遊びも好きで、 問題があるようにはまるで思えません』
との事でした。
それでも、やはり息子の行動(特に、話すときにキョロキョロしたり、興奮すると止まらなくなるなどのところ)が、どうしても気になります。
私が見ている限りでは、確かに上手にお友達と遊ぶときもありますが、そうでないとき(興奮しすぎて相手に驚かれる)が多いのです。
母には『赤ちゃんがえり』では無いかと言われました。
赤ちゃんがえりは、こんなに長い期間続くものなのでしょうか。。。
息子の落ち着かない行動や気持ちは、本当にアスペルガーなどの障碍では無いのか、未だに気になります。
(アスペルガーは、なかなか症状を認めてもらえなかったり、診断が下るのにとても時間がかかると聞いた事があります)
本当に障碍や病気ではないにしても、そういう行動を続ける息子が不憫で、早く何とかしてあげたいのです。
どこに相談しても、問題ない、赤ちゃんがえりと言われるだけで、具体的な対策も分からぬまま、やみくもに試行錯誤しているうちに 私も無力感に襲われるようになってきました。
私は、小児科、精神科、心療内科、どこに相談するべきでしょうか。。。
息子の出来る事、得意な事を書きます。
自分の身の回りの事は、手洗い、歯磨き、うがい、食事、排泄、着替え(ホックは少し苦手ですが)など、何でも自分で出来ます。
言葉の遅れは全くありません。大人な並に長い文章が話せます。
ただ、遊びに夢中になっているときなど日本語が崩壊して訳の分からない言葉になっていたりします。
こちらの言葉も理解しているようで、簡単な用事は頼めます。
言い争っている声を聞くと、『喧嘩しないで!』、赤ちゃんが泣いていると『ヨシヨシ』、TVの面白い場面で笑うなど、状況を判断 することは出来ているようです。
嬉しい、悲しい、寂しい、楽しい、恥ずかしいなど、感情を表す言葉も使います。
手先はかなり器用で、ハサミやノリを使った工作が得意で、自分で想像して何かを作ったり書いたりするのも好きです。
ゴハンを食べ終わるまでお菓子を我慢する、弟にオモチャをかしてあげるなど、普段は我慢も出来ます。
念のために、生育歴を書かせて頂きます。
長男は、3028gの元気な男の子でした。妊娠中、出産時に異常は無ありませんでしたが、少し黄疸が強く光線治療を行いました。
あやすと良く笑い、抱っこさえしていればご機嫌な赤ちゃんでした。
1歳の頃は、思いつくとパッと行動して、じっとしていない子で、ついて回るのにヘトヘトになっていた記憶があります。
2歳代は、少し反抗期がありましたが、すぐに治まりました。
人懐こく、お客さんが来るとお茶を出したり、私が怪我をすると心配したり、お友達にお菓子を分けてあげたり、優しい子という印象でした。
この頃も、思いつきでパッと行動したり、常に何かをしていて活発な印象でしたが、何か特に心配をした覚えはありません。
かんしゃく持ちという印象もありません。
ただ、育てるのが大変だとは常々感じていました。
下の子が出来るまでは、毎日元気いっぱいに一緒に外遊びをしました。
下の子が出来てからは、体調が悪く、あまり外に出たり遊んだり出来ず、息子にしてみれば退屈でたまらなかったと思います。
下の子が産まれてからも、しばらくは同じような状況が続いたので、息子はフラストレーションがたまっているかも知れません。
ひどいイタズラが続き、つい感情的に怒ってしまうことも多くありました。
それで、息子は傷ついてしまったのでしょうか。。。
運動機能は、4ヶ月で寝返り、5ヶ月でずり這い、7ヶ月で捉まり立ち、1歳で一人立ち、1歳1ヶ月ごろ一人歩きをしました。
今は、補助輪つきの自転車に乗る、ケンケン、スキップ、ジャンプなどが出来ます。
言葉は、1歳前後に 単語、2歳を過ぎてから2語文、2歳半で助詞、形容詞を使った長い文章が話せるようになりました。
今は、少し発音がハッキリしないことがまれにある他は、言葉を使ったコミュニケーションが上手に出来ます。
長々と、まとまりの無い文章を呼んで下さってありがとうございました。
林:
母には『赤ちゃんがえり』では無いかと言われました。
お母様のおっしゃる通りだと思います。赤ちゃんがえりの一種でしょう。医学用語では「退行」と言います。下のお子様の誕生がきっかけになったものに間違いないと思います。しばしば起こる現象です。すでに専門家の診察を受けておられることですし、アスペルガーなど、他の病気の心配はさしあたり必要ありません。受診の必要もないでしょう。ごく大雑把な言い方をすれば、下のお子様への「やきもち」が原因ですので、そのような気持ちが生じにくいよう、お二人に同等の愛情を注ぐということが、平凡ですが最も適切な対応法になります。また、お母様であるあなた自身が、不安がらずに落ち着いた態度・行動を取ることも非常に大切です。そうしているうちに自然に問題は解決すると思います。