精神科Q&A
【1221】妄想が激しい姑が、「性格異常」「過敏症」などと診断されているのですが
Q:
姑(70歳)のことでご相談を申し上げます。
私は現在結婚して18年たちます。 結婚前から変わった人だとは聞いていましたがそのころは主人の父も生きておりましたので、ちょっとヒステリックなくらいにしか感じていませんでしたが、「アパートの両隣の住人から嫌がらせされている」といったり、「バイクや車に乗って義父母の元へ訪れると(いたずらをされるから)危ない」と言って、何かで覆ったりしていました。
その後私たち夫婦は結婚し、主人の父が無くなり、同居をせざるをえなくなると激しい妄想が始まりました。
「飼っていた猫が呪う」とか、「隣が毒を撒き自分の暗殺計画を話している」「家を攻撃してくる」「組織から狙われている」「見知らぬ男に監視されている」「私(嫁)が浮気している」
車の走る音さえも自分を攻撃しにきて逃げていったエンジン音であるとか、お隣に止まっている車を毒や薬品を配達に来たのだなど、とても説明しきれないほどの妄想と、臭い、音への反応、ヒステリックに怒鳴り、泣き、私に殺されると言い出し、手の付けられない状態になったので、16 年ほど前に某病院精神科を受診したところ、《性格異常》なのでどうにもなりません。と、治療なし。それよりも私がおかしくなるから別居しなさい。 という医師のアドバイスに愕然としつつも逃げるよう 別居しました。それからしばらく私の実家などに金銭を要求する脅迫電話などがかかってきましたが、無視することでやりすごしてきました。
五年ほど別居したころ、家の隣人から苦情を受けました。1日中穴を掘っている。(多分花を何度も植え替えている)。気持ちが悪い。声をかけると訳のわからないことを言う。 などでし た。 その後、仕事や収入などの理由と、隣人からの、「気のふれたお母さんを一人にしておくのは無責任なんじゃないか」と言われた事もあり、再び同居。 そのころの家は、外部からの攻撃から身を守るため に有刺鉄線を網目のように張り巡らせた繭のような外観で、それでも孫ができればまた変われるのかもしれないと、義母について保健所に相談して病院を選定し、通院しながら治療していましたが、診断名は《過敏症》。 有刺鉄線の量は減りましたが自分の部屋の周りだけははずすことができず、感覚を多少鈍くする薬を処方されたのか、1ヶ月ほどは服用したのか、その後は本人が言うには、医師に「薬が合わないので飲みたくないが息子が薬を飲まないと怒るからビタミン剤をくれ」と相談。 医師は快諾し本人に精神病ではないとはっきりいったのかは、わかりませんが、「自分も病気ではなくおかしいのは周りだ」と言い、すぐに薬を飲むのをやめ、攻撃されている妄想、その他さまざまなことに自信を 持ち現実であると確信したようでしたが、よほど病院がいやだったのか、妄想を口に出すことが少なくなりました。
それでも、孫が産まれ、私に対する攻撃的な状態もなくなっていたので、なんとか生活はできていました。 が、家の外には監視カメラを着け、お隣との接線には高さ3メートルを超える塀を作り、臭いがする、音が聞こえると言って、家の外壁を何時間も水で流したり、子供が小さいときは窓を開けるとさらわれる、毒をかけられる。と、窓を開けることも自由にはならず、でも病院を勧めると「病院にいくくらいなら死ぬ」 と泣き叫び…主人は過去2回病院であしらわれている事から自信をなくし、強制的に病院に連れて行くということはしませんでした。
それからも、飛行機やヘリコプターが何かを撒いていると言い、自衛隊や航空関係の施設に苦情の電話をかけたり、監視カメラに虫か何かが映り込んだりすると「飛行機が通ったとき私は避難していたから大丈夫だった」などまったく意味のわからないこと を言ったりしていました
孫が言葉をしゃべるようになってくると、次は孫への教育に執着を示し、私も子供と義母が血縁であることは否めないので口出しはせずに見守っていました。長男はおとなしい性格で、従順でしたので、とてもかわいがっており、多少ヒステリックでもなんとかうまくやっていましたが、最近になって次男が自分の言うことを聞かない、教えたとおりにしないと、殴ったり髪を引っ張ったりするようになり、そうなると長男にも手を出し、私がやめてくれと言うと次はまた私が浮気しているという妄想が始まり、孫は私の孫ではないと言い出し、具体的な名前も出し、男を見たとか、ものすごいテンションでまくし立てたり物を投げたかと思うと私を恐れ(包丁を持ち出そうと思ったそうです)部屋にこもったりしています。
現在、キッチンは2つで風呂トイレ共有の住宅に同居している状態ですが、子供も小学校にかよっており、簡単に別居したり、避難したりはできない状況で、また保健所には相談に行く予定ですが主人は前回の2回の経験で精神科医に会うことに臆病になってしまっています。 子供は恐怖から一人でトイレに行くことはできず、音を立てないように息をひ そめて生活しています。主人も私も食事をする気にもならず、体重は減少し、ストレスで手足が冷えて心臓がドキドキします。本当にこちらが病気になりそうです。
ネットでこのQ&Aを見つけて同じ苦しみを持つ人の書き込みに少し救われるようでした。 医学知識はないですが、義母は統合失調症ではないかと思います。しかし、なぜ前回、前々回、義母は病気ではないと判断されたのか余計に悩みます。私たちの説明がわるいのか? 医師の力量不足なのか?夫が言うには、どの医師も(この程度で受診しないで、自分たちでできるだけがんばって面倒みなさい) (薬は出すからあとは引っ越すなりすれば)というふうに受け取れる態度で、こちらの主張は話半分にしか聞いてくれない。といいます。
これからどうすればいいのでしょうか。本当に義母が病気でないのならば、誰かが死ぬまで出口はないのではないかと感じます。夫も「俺を刺してくれるといいんだけどな などと口にしています。 もし、パラノイアだった場合は医学的な治療は行えないのでしょうか? なぜ医師によって診断がまちまちなのでしょうか? これからまた病院に行って、病気ではないと診断が下った場合、もうどうすることもできないのでしょうか?
林:
義母は統合失調症ではないかと思います。
その通りです。統合失調症にまず間違いないでしょう。
しかし、なぜ前回、前々回、義母は病気ではないと判断されたのか余計に悩みます。
それは全く不可解です。これだけの症状があって、性格異常と診断されることはあり得ないと思います。
私たちの説明がわるいのか?
それはもちろん考えられないでもないですが、このメールに書かれた内容が医師に伝えられれば、それで診断にはほぼ十分と思われます。
医師の力量不足なのか?
それも考えられないでもないですが、これだけの症状があるのにもかかわらず統合失調症と診断できない医師がもしいるとすれば、それは九九も知らない算数の先生のようなものです。やはり考えられません。
夫が言うには、どの医師も(この程度で受診しないで、自分たちでできるだけがんばって面倒みなさい) (薬は出すからあとは引っ越すなりすれば)というふうに受け取れる態度で、こちらの主張は話半分にしか聞いてくれない。といいます。
やる気のない医師ならそのような態度を取ることも考えられないでもないですが、「どの医師も」とあるところを見ると、複数の医師がそのような態度だったということでしょうか。やはり考えられません。たまたま非常に運が悪く、最悪の医師に続けてあたってしまったのでしょうか。
本当に義母が病気でないのならば、誰かが死ぬまで出口はないのではないかと感じます。
いいえ、お義母さまは病気です。統合失調症です。
もし、パラノイアだった場合は医学的な治療は行えないのでしょうか?
パラノイアではありません。統合失調症です。
なぜ医師によって診断がまちまちなのでしょうか?
わかりません。統合失調症と診断されない理由が全く理解できません。
これからまた病院に行って、病気ではないと診断が下った場合、もうどうすることもできないのでしょうか?
少なくとも標準的な診断能力を持っている精神科医なら、病気でないと診断することはあり得ないと思います。
最近になって次男が自分の言うことを聞かない、教えたとおりにしないと、殴ったり髪を引っ張ったりするようになり、そうなると長男にも手を出し、
このような状況では、お子様の成長にも多大な悪影響があるのは言うまでもありません。そして成長への悪影響は、あとからでは取り返すことが出来ないものです。一日も早く精神科医(標準的な精神科医、というべきか、「まともな」精神科医というべきか)の診断を受け、治療を始めてください。