精神科Q&A
【1201】主人のうつは自己愛性格によるものでしょうか
Q: 私は34歳で一度離婚歴があり今の主人とは再婚なのですが、ご相談したいのはその主人のことです。
主人は4つ年上で38歳なのですが、お金に関する事がメチャクチャで若い頃から借金を繰り返し再婚してから6年間の間にも常に給料の前借はもちろんの事、私のカードを持ち出して(本人はすでにブラックリストに載っていてお金を借りられない為)使ったり、家の物を次々と質屋に入れてしまったりでいつも家計は火の車でした。
それだけならばただの浪費家なのですが、不思議なことに普段はとてもおとなしく子供にも優しく人から頼まれごとをしても断れないほど気の小さな人で一見して「いい人」なのに、一方では会社の備品を勝手に持ち出し売り払ったり、私には何の断りもなく実家の私の両親に突然借金にいったり(それも数百万単位です)して、この数年間振り回されっぱなしでした。
しかしその度ごとに皆からたしなめられ又責められたりするといつもの気の小さな主人が顔を出し下を向き「今度限り」だと約束するのです。それの繰り返しなのです。しかもギャンブルや女遊びで使うでもないのに(せいぜい飲み食いするくらい)10万単位でお金を使うので、いつも気付いた時には家計費がなくどうしようもなくなって本人は家に帰らず逃げ出し見つけたときにはホームレスのような毎日を送っていることも何度もありました。
また、話をしていても自分が熱中して話し出すと周囲の事が全くわからなくなり会話が成立しなくなってしまいもともと嘘をつく事が多いのですがそのうち自分が以前何をいったのか全くわからなくなっているという事もよくありました。
ひどい時はつい5分前に言った事に対しても「俺はそんな事は言ってない」と言い出し、普段の会話でも一貫性がなくこちらがおかしくなってしまいそうになります。又、おかしいと指摘されるとキレたように高揚し、暴言を吐いたりするのですが決まって後からクヨクヨ悩み仕事も手につかず出勤するフリをして休んで家に隠れていたりします。
一時期仕事中でもそういう事が無意識のうちにあるらしく、本人は「物忘れがひどい」と言い悩んでいましたので以前から少しおかしいと思っていた私はカウンセリングを受けるよう勧め、本人もややその気になっていたのですが事件が起こる度ごとに憂鬱になり仕事に行かない為クビになったりで結局は生活に追われその事も立ち消えになってしまいました。
それで今回も同じように事もあろうにタチの悪い町金融にお金を借りて返済を迫られたらしく、家計費を全てもぎ取られその上家にも来るからと脅された為に家族をおいて消息をくらましていました。
以前にもそういう事があり、その度に私が自分の名義でお金を借りて切り抜け、ひどい時は数ヵ月後に主人がもどるまでどうにか持ちこたえた事もあるのですが今回はさすがに私の両親に縁を切ることを迫られ2日前に別居しました。
「この人は単なる自立できていない人なんだ」と自分に言い聞かせていましたが、たまたま「軽症うつ病」についての本を読む機会がありその中の「自己愛的性格の人の憂鬱症」という項目に主人が該当するのに驚きこのメールをご送信させていただく事にしたのです。以下がその本に書いてある項目で主人に該当するものの概要です。
1)一見して整然としているのに時として衝動抑制力に欠け、自己破壊的行動に走る(一貫性がない)
2)物を盗んだりサラ金にローンを持ったりして人を巻き込み直接・間接に人を傷つける
3)そういった行動は短期間で、それがすむと(忘れて何もなかったように)ケロリとしている。が、また繰り返し同じ事をする。
4)人格の分割が感じられいつもらしくない行動をする。(一方では震えるほど後悔するのに、その時点にくると 判断できなくなる)
…他
これを読んでまるで主人の事を言っているようで驚きました。主人は幼い頃から環境に恵まれておらず(実の母は2歳で亡くし他県の祖母に預けられ、父親が再婚する時に連れ戻されたがその両親も別居を繰り返したり、義母がスナック経営で独身と偽っていたので「弟」と言わされたりしていました)
私自身も以前から不安定な要素に気付いていましたが、やはり受診させるべきなのでしょうか。
嘘と浪費(借金ぐせ)がなければ本当に良い人で、子供たち(2人)も大好きなので出来ればどうにかしたいのです。
どうぞ判断の基準を教えて下さい。どうかお願いします。
別居をして間もない為、乱文お許しくださいませ。
林: ご指摘のとおり、ご主人は「自己愛的性格の人の憂鬱症」に一致しているようです。
やはり受診させるべきなのでしょうか。・・・ どうぞ判断の基準を教えて下さい。
基準というものは特にありません。仮にあったとしても、この【1201】のケースは、基準など考慮する余地はなく、これだけ周囲に迷惑をかけていれば病的であることは明らかです。
また、別の可能性として、脳の器質的な病気(たとえば前頭葉などの脳腫瘍)でも、このような症状が現われることがあります。おそらくこのケースはそうではないと思いますが、それをはっきりさせるためにも受診は必要です。話はすべてそれからだと思います。なお、受診の際には必ずあなたが同行されることが必要です。一人で受診された場合、表面的な話に終始し、何の診断もつかないことが強く予想されるからです。