精神科Q&A
● 分裂病における被害妄想について
--- 特に誇大妄想との関係において ---
保崎秀夫 精神神経学雑誌 62巻 326ページから338ページ 1959年
統合失調症(精神分裂病、分裂病)の、妄想内容そのものに焦点をあてた論文です。
症例の検討、文献研究の両方から、統合失調症の経過をみると、その妄想は初期には被害妄想で、病気が進むと誇大妄想となる傾向があり、これは背景にある病気そのものの重さを反映している(つまり、重くなると妄想は誇大的になる)と論じています。
これは今から半世紀も前の古い論文ですが、当時はこのように精神症状そのものを深く考察していく研究がかなり行なわれていました。対して現在はこうした研究は少なくなっています。