精神科Q&A
【1159】パニック障害でパキシルを処方されたのですが、副作用が出やすいと知って飲んでいません
Q:
私は36歳専業主婦です。夫と4歳の子供が１人居ます。
昨年の夏頃、夜中に突然過呼吸の発作(初めてです)が起きて病院に行きました。その時、死の恐怖を味わいました。
その後何もなく普通に生活していたのですが、秋頃突然買い物中気分が悪くなり家に帰って来た時には全身痙攣で救急車にて運ばれました。その後からだと思いますが、夜中寝る時に大切な家族が死んじゃったらどうしようと不安に思って寝付きが悪くなりました。
私は、19歳の時に母が病死したので(父が船乗りだったのと妹はまだ小さかった為、私が手術室にて壮絶な死に目を看取る事になりました)余計そうなのかもしれないと思っていました。
普段の生活には何も問題ないように思われていましたが、歩くと浮遊感が出始めました。血圧も低く(元々低いのですが)体重も減り始め、電車に乗ると心臓がバクバクいうようになりました。
内科・脳外科・婦人科・耳鼻科に受信しました。どこも異常が無くて耳鼻科では低血圧による典型的な症状かもとは言われました。
年末にリフレッシュしようと旅行に行ったのですが、無事に済んで帰ってきたら頭の中がおかしくなっている自分に気が付きました。
勝手に何かしてしまうのではないか・自分がどうにかなってしまうのではないかとグルグル回りはじめました。
年明け、不健康を改善しようと朝公園に散歩に行きました。
少し歩いたら浮遊感と吐き気と全身の震えと首筋の懲りで気分が悪くなりました。
何とか家に着いたのですが、前回の恐怖感で一杯になりました。
週末、大型電気屋さんに行った所、一人地震が起きたようになって吐き気が酷くなりすぐ家に帰りました。車酔いも酷くなりました。
生理前・排卵日に特にこの症状が酷くなっている様な気がします。
この頃から寝る前に突然スイッチが入ったように恐怖に襲われ、何とか寝ても夢ばかり見る様になりました。今は、夕方コメカミが痛くなり時々スイッチが入ったように不安に襲われるようになりました。毎日ではないのですが。
お店に入ると手に汗が出てきて動悸がするようになりました。これも時々なのですが。
近くの心療内科に行ったのですが、特に病名は伝えられませんでした。
もらった薬は、ソラナックス0.4・パキシル10・デバス0.5です。
パキシルは常用した方が良いと言われました。デバスは常用しなくて眠れない時で良いと言われました。ソラナックスは、症状が出た時で良いと言われました。
ソラナックスを1錠飲んでみたのですが、初め凄い動悸におそわれ全身が逆立ったような気分になりました。
パキシルは副作用が出やすいとネットにて見たので、怖くて飲んでいません。
私は、パニック障害なのでしょうか？
パキシルは飲まないといけないのでしょうか？
大切な子供と主人の為にもきちんと治したいのですが、薬をどう飲めば良いのか悩んでいます。
林: 結論を先に申し上げますと、あなたはネットを見ないほうがいいと思います。主治医の先生の指示だけを守るのが回復への最短距離になるでしょう。ですから、私の回答をお読みになる必要もありませんが、一応は回答を記すことにいたします。
診断としては、パニック障害の可能性が高いと思います。したがいまして、当座の症状改善のためには抗不安薬が有効で、それだけで良くなる可能性もあります。けれども、長期的に見れば抗うつ薬のほうが効果があると思われます。パニック障害に対する抗うつ薬としては、セロトニン系に作用するもののほうが有効ですので、あなたが処方されているパキシルや、アナフラニールなどが使われるのが普通です。しかし必ずしも抗うつ薬を飲まなければ治らないということはなく、ましてやパキシルでなければ治らないということもありませんので、
パキシルは飲まないといけないのでしょうか？
この問いに対するお答えは、単純にはノーです。つまり、飲まなければいけないということはありません。
けれども、
パキシルは副作用が出やすいとネットにて見たので、怖くて飲んでいません。
あなたのこのような姿勢は、今後の治療全体を崩壊させるものです。いかなる薬にも副作用はあり、パキシルだけが特に副作用が出やすいということはありません。あなたがご覧になったサイトにどう書いてあったかは不明ですが、もしパキシルだけが特に危険であるかのような書き方であったとすれば、全く信頼できないサイトであると言わざるを得ません。
それに、そもそも、いかに信頼できる(あるいは信頼できそうに見える)サイトであっても、その情報やアドバイスが、現にあなたを診療している主治医からの情報やアドバイスに勝るということはあり得ません。【0707】もご参照ください。そこに書かれているように、主治医よりネットを信頼するのであれば、診療を受けるのはやめるべきです。
以上の理由から、ネットの情報に基づいて薬を飲むのをやめたあなたは、もし本当に自分の病気を治そうとお考えなのであれば、今後ネットを見るのをやめることをお勧めします。この回答の冒頭に述べた通りです。ネットからの情報(いや、ネットに限らず、医療に関するあらゆる情報です)を遮断することが、あなたの回復のためには最善だと思います。