精神科Q&A
【1097】アルツハイマー病か、てんかんか
Q:
私の父(54歳男性)は1年半前に突然てんかん発作を起こしました。
その時に病院に行きましたが、「てんかんですね・・・もう2度と症状は出ないと思いますよ」と言われ安心して帰りました。
ところがその症状がでて半年後くらいから物忘れが激しくなってきました。最初は地名や土地が分からなくなるといった症状でした。よく忘れるなと思ってからやはり何らかの病気かも?と思いまたその病院にかかりMRIなど様々な診察をしました。脳の萎縮も無かったのですが軽度のアルツハイマー病という事で薬をもらい服用して2ヶ月がたちました。
そして今日またてんかん発作が起こりました。
私の父は本当は何の病気なのでしょうか?
林: もっとも可能性が高いのは、アルツハイマー病です。てんかん発作もアルツハイマー病の症状としてあり得るものです。ふりかえってみれば、
1年半前に突然てんかん発作を起こしました。
その時に病院に行きましたが、「てんかんですね・・・もう2度と症状は出ないと思いますよ」と言われ安心して帰りました。
これがアルツハイマー病の初発症状だったのでしょう。てんかん発作でアルツハイマー病が始まることは、多くはないですが、あり得ないことではありません。アルツハイマー病では、脳の細胞が死んでいきますので、脳に関するどんな症状が出ても原則的には矛盾はありません。
なお、この時に「もう2度と症状は出ないと思いますよ」と言われたというのは全く不可解なことです。この年齢でてんかん発作が初発した場合には、何らかの脳の器質的な病気(その中にアルツハイマー病も含まれます)の可能性を考えるのが常識だからです。