精神科Q&A
【1063】高機能自閉症の娘が進学と同時に落ち着きがなくなりました。薬を飲ませた方がいいのでしょうか。
Q:
今年中学校に入学したばかりの娘が大きな環境の変化についていけず、学校でふざけるようになりました。普通クラスに在籍していますが、新しいクラスメートに「お前自閉症かよ」「うざい」「ばか」等いろいろ言われたり、仲間はずれにされる時があるようです。周囲の人の気を引きたいという幼さから「ちんち〜ん」と大声で言ったりして、親が見ても最近は落ち着きがありません。小学校の時もいろいろありましたが、親友と言ってくれる友達もいて数人で出掛けたりしていましたし、人に迷惑をかけることもなく、特に目立たず、お友達からはちょっと変わってるけど面白くて優しい子だと言われていました。
9歳の時受診した心療内科で高機能自閉症と診断されました。今はそこで月1回言語療法士と面談しています。5歳の時に別の病院でアスペルガーの可能性があり経過観察と言われました。
先生の直接の診察はなく、私が子供の面談時にお話しをしています。先生は落ち着かない時に薬を処方されます。11歳の時にオーラップ、12歳の時にセレネース、今回はリスパダール1rが処方されました。このお薬は副作用等とても心配です。娘のような症状の場合このお薬が最も有効なのでしょうか?副作用のおそれはどうなのでしょうか?こちらから先生にお願いするにも知識がないので、不安ながらも服用させています。どうぞよろしくお願いします。
林: 薬が必要かどうか、一概には言えないケースです。発達障害では、【0928】のような攻撃性が現れた場合には、ぜひ薬物療法を行うべきだと思います。それに対してこの【1063】では、「落ち着かない」というレベルにとどまっていますので、薬を飲むことが必須とはいえないでしょう。発達障害の方に対して現在処方される薬は、決して病気そのものを治すものではなく、症状を一時的に抑えるものにすぎないからです。
ただし、「症状を一時的に抑えるものにすぎない」からといって、では飲んでも仕方がないということには決してなりません。この【1063】のケースでいえば、
新しいクラスメートに「お前自閉症かよ」「うざい」「ばか」等いろいろ言われたり、仲間はずれにされる時があるようです。
というように、症状によって友人から嫌われたりすることで、学校に適応できなくなるおそれがあり、ひいてはそのために症状そのものが悪化したり、社会への適応がますます困難になる可能性があるからです。
ですから、たとえ攻撃性がみられなくても、服薬が必要な場合はあります。そして、【1063】でこれまで処方されてきたオーラップ、セレネース、リスパダールとその量は、妥当な内容であるといえるでしょう。
娘のような症状の場合このお薬が最も有効なのでしょうか?副作用のおそれはどうなのでしょうか?
この質問にはお答えしようがありません。このような質問は比較的よくいただくのですが、どんな薬にも副作用のおそれはあり、したがって薬を飲むのは効果と副作用のバランスを考え、効果のほうが大きいと判断してのこととなります。この【1063】のメールには薬を飲んだ結果どのような効果が得られたかが全く書かれていませんので(副作用を心配される質問メールでは、得られた効果について何も書かれていないことがしばしばあります)、何もお答えしようがありません。