精神科Q&A

【1043】躁うつ病か、性格の問題か


Q: 34歳の主婦です。うつ病と診断されて4年目を迎えますが、発症は2度目です。 
20歳の頃に過食症とともに発症し、休学2年したのちに復学就職しました。 
服薬とカウンセリングを続け5年ほどで回復しました。その後、時々落ち込むこともあり、 その時には漢方を使用していました。 
30歳のときに再び倦怠感、不眠、不正出血など身体症状から始まり20歳同様の状態(寝たきり、過呼吸、自責感、希死念慮)となりました。退職し服薬治療に専念してきました。 
その間支えてくれた主人と結婚しました。その後は過食症は落ち着いてます。 
経済状況から引越しを3回行い、環境の変化が回復を遅らせたとも考えていました。 

現在は発病当時に比べれば波がありながらも回復してきたと感じています。 
ご相談したいのは、発症前と回復期の状態についてです。 

20歳の時も30歳の時も、以下のような似たような状況が見られました。 

発症前:サークルや仕事に夢中になりすぎる傾向があり、ハイ状態でどんどん仕事をすすめていく。リーダーシップも強引にとっていく。多幸感が体の疲れを上回り、寝ずに何かを続けるようになる。ひとりで仕事を抱え込むようになる。 

そして、倦怠感から始まりうつ状態に陥ります。 
うつ病の間は調子の悪いときは体を起こしておられず、少しよくなると家事ができるといった具合です。発症前のハイな状態に陥ることはありません。 

回復期:感情が昂ぶっていき、やりたいことがどんどん出てくる。ただ、体がついていかず思い巡らせるだけになるが、とりつかれたように同じことを何度も何度も繰り返し考えて眠れなくなる。やがて、疲れてうつ状態に陥る。しばらくして同様の状態になります。 
生理前に特にひどくなる傾向がみられます。現在は今年に入ってからこの状態になっています。 

自分のこれまでを振り返ると、突っ走るかうつ状態になるか両極端で、バランスをとることがうまくできません。金銭的なトラブルはありませんが、強引にすすめるため人間関係のトラブルは抱えることがあります。 

これは、性格の問題なのでしょうか。うつ病でしょうか。それとも軽躁状態の躁うつ病 なのでしょうか。 

主治医にもこのことを話して炭酸リチウム錠を処方されましたが、吐き気などの副作用に耐えられず 1週間で中止しました。現在は服薬治療のみでカウンセリングは受けていません。 

服薬内容です。 
2004年 トフラニール  25r 
     セニラン      5r 
     ベタマック    T50? 
     パキシル     10r 
     ソラナックス   0.8r 
(服薬回数を忘れてしまいました。すみません。) 

2005年夏〜現在 
     パキシル  20r(夕) 
     デプロメール 25r(朝・夕) 
     リボトリール  0.5r(朝・夕) 
     ロンラックス  (頓服) 


林: あなたは躁うつ病だと思います。
あなたがこれまで経験されてきた、うつの発症前と回復期にみられる、特に理由のないハイな状態は、躁うつ病の躁状態の圏内に入ると考えられます。
 いま「圏内に入る」と曖昧な表現をしたのは、厳密な診断のためにはこの状態の持続期間や、他人からみてそれがどの程度のものであったかという情報が必要なためです。
 けれども、そうした情報がなくても、このメールの内容からは、少なくとも性格の問題という範囲のものではなく、躁うつ病の躁状態(もしくは軽躁状態。こちらのほうがあなたにはあてはまるかもしれません)の圏内と考えられます。
 ですから、当初リチウムが処方されたのは妥当なところです。残念ながら副作用のために続けられなかったとのことですが、その場合はデパケン(バルプロ酸)かテグレトール(カルバマゼピン)を試みるのが定法です。今のあなたの処方にはそのいずれもがないことに加え、薬の種類が多すぎて不適切な印象を禁じ得ません。デパケン(バルプロ酸)かテグレトール(カルバマゼピン)を中心とした、よりシンプルな処方にすることで、将来の再発が抑えられるでしょう。逆にいえば、残念ながら今の処方では今後も同じことが繰り返されると思います。



精神科Q&Aに戻る

ホームページに戻る