精神科Q&A
【1038】発作の記憶が鮮明に残っていてもてんかんでしょうか
Q:
私は20歳の女です。
今から3年ほど前に脳内に膿瘍が見つかり手術を受けました。その後完治はしましたが、てんかん発作が出始めたため薬(エクセグラン)を飲む日々が続いています。
そして約1年前に脳内出血を起こしてしまい、また入院をしました。
私は生まれつきの心臓病のため、血が濃くきれいな血が体に流れないため、脳の病気になりやすいと医師から言われました。
そのため2〜3週間程度の入院のはずが、またその出血したところに膿瘍ができてしまい、手術を受けることになってしまいました。
その入院生活中に2度てんかん発作を起こしたのですが、
そのうちの1度だけ、発作の記憶が鮮明に残っているので「こういうことってあるのかな
・・・」と不安に感じ、ご相談のメールを差し上げた次第です。
発作記憶ですが、最初に目の前の焦点が合わくなって、何度も「お母さん!」と言ったあとに、段々と首が横によじれてったのを覚えています。
発作中に自分の頭の中で「苦しい!苦しい!」と叫んでいたのも覚えているのです・・・。
いつもなら発作が起こったときは、最初から記憶が途切れていて気がついたら救急車の中・・・とかなのですが、記憶が途切れてなというのは何かが良くなっているとかそういう前兆なのでしょうか?
今は膿瘍も完治しましたが、入院中にあった発作みたいなのがいつくるのか怖くて、たまらない日々を送っています。
一言でもよいので何かアドバイスいただけたら幸いです。
林:
そのうちの1度だけ、発作の記憶が鮮明に残っているので「こういうことってあるのかな
・・・」と不安に感じ、ご相談のメールを差し上げた次第です。
そういう発作もあります。
あなたのてんかん発作は、膿瘍によるものと考えてほぼ間違いないでしょう。たとえていえば、膿瘍の部分に火がつき、それが脳全体に延焼することで、けいれんなどの発作が起きているのです。(膿瘍部分の焦点からの神経細胞の興奮が全般化するというのがより正確な表現です)
脳全体に延焼すれば、その時の記憶も失われるのが普通です。
しかし、延焼が脳の一部にとどまれば、けいれんも全身性になるとは限らず、記憶も失われるとは限りません。
あなたの経験された、記憶が鮮明に残っている発作は、延焼が脳全体に及ばなかったのだと考えられます。ですから、
記憶が途切れてなというのは何かが良くなっているとかそういう前兆なのでしょうか?
発作としては軽くなったと見ることも出来ます。
今は膿瘍も完治しましたが、入院中にあった発作みたいなのがいつくるのか怖くて、たまらない日々を送っています。
膿瘍が完治されて何よりと思います。
今後しばらくは定期的に脳波の検査を受けることが必要です。その検査結果を参照しつつ、適切な種類と量の薬を飲むことで、発作は抑えることが出来ます。