精神科Q&A
【1010】統合失調症が完治したはずなのに…
Q: 遠方に住む40代の妹についてご相談があります。
妹は数年前から霊が見えるようになったと言って、異常な行動が見られ始めていたのです
が、去年の2月に症状が悪化し、精神科に入院。統合失調症と診断されました。(退院後に、本当の病名は自律神経失調症だったと妹からは言われていますが…)
3ヶ月の入院でずいぶんと落ち着き、眠れなくて苦しんだりしながらも普通に生活できるようになり、復職もして、忙しく暮らしておりました。3ヶ月ほど前には、病気のための投薬も通院ももう必要ないと医者にも言われたとうれしそうに話していました。
ところが、近くに住む両親の話では、数日前からブツブツ独り言を言ってニヤニヤ笑ったり、ぼーっとしていたり、また様子がおかしいと言うのです。私もおととい電話で話したときに、話がかみ合わなかったり、変に敬語で話したりしているのを聞いて心配になっていたところでした。
妹の夫は「完全に治るまで色々ありますよ」と冷静でいます。信頼できる人なのでまかせていいのだと思いながらも、放っておいてまた悪化しないだろうか?と、とても心配です。病院にかかる必要はないのでしょうか?
最近は、怒ったりという感情がなく、家族みんな(子供も3人います)に謝ってばかりで、眠る時間を削って尽くしているのも異常に見えます。
林:
明らかに統合失調症(精神分裂病)が悪化しています。病院で治療を受けなければさらに悪化し、場合によっては取り返しのつかないことになるかもしれません。
退院後に、本当の病名は自律神経失調症だったと妹からは言われていますが…
これは事実でないことは明らかです(おそらくあなたも事実でないと考えておられるとは思いますが)。もっとも、医師が妹さんに統合失調症と告げたかどうかまではわかりませんが。
3ヶ月ほど前には、病気のための投薬も通院ももう必要ないと医者にも言われたとうれしそうに話していました。
こう言われたというのも事実とは思えません。
統合失調症で病識が不十分な場合、このように、「医者が統合失調症でないと言った、もう治療の必要はないと言った」というようにご本人がご家族や友人に伝えることはよくあることです。
妹の夫は「完全に治るまで色々ありますよ」と冷静でいます。
これは冷静というより能天気と言うべきでしょう。
(妹の夫は)信頼できる人なのでまかせていいのだと思いながらも、
残念ながら、一般の社会生活等では非常に信頼できる人であっても、家族の精神疾患への対応が全く不適切なことは時にあるものです。
放っておいてまた悪化しないだろうか?と、とても心配です。
あなたの心配は正しいです。放っておけば悪化するのは火を見るよりも明らかです。
病院にかかる必要はないのでしょうか?
必要というより必須というべきでしょう。そのためにはまず妹さんのご主人とよく話し、病気について理解していただくことが必須かもしれません。そうしないと、今回、いったんはまたよくなっても、同じようなことが繰り返されることになりそうです。