精神科Q&A
【0997】うつ病と診断され休職中ですが、たまに記憶がないときがあります
Q:
私は31歳の女性です。
20代の後半に、自分の浮気という過失が原因で、慰謝料など絡んだ非常にドロドロした離婚を経験しました。
3〜4年、経済的にも精神的にも非常に苦しい時期があり、それが一段落したちょうど1年ほど前、急に朝起きられなくなったり蕁麻疹が出たりしたため、心療内科を受診したところ、うつ病と診断されました。
この1年間で2度、それぞれ1ヶ月ほど休職をし、今また、たまたま会社で暴言を吐いて急に辞めた部下の言葉が非常にショックで、それがきっかけでまたうつが重くなり、会社を休職し2ヶ月ほどたっています。
今悩んでいるのは、薬のせいなのか、たまに自分の記憶がないときがあって非常に恐ろしいことと、そのときに自分がとっている行動がありえないくらい異常なのです。
私は真面目で愛情深い両親に育てられたにも関わらず、性に奔放だったり金銭にルーズなところがあり、今までは逸脱しない程度に表には出さずやってきましたが(深く自己嫌悪 に陥るのですが)、うつになったこの1年、特に飲酒をした夜など、何かものすごい衝動にかられて出会い系サイトをやったり、風俗のサイトを見て求人に応募などし、実際に行って1、2度働いて(そのときはすごく気持ちが大きくなっていて自分はなんともない、という気分になっている)、そのあとそんな自分が怖くなってすぐ辞める、といった とを数度繰り返しています。 また、大きい買い物(着物など)を安易にしたりします。
自分を客観的に言うと、仕事は真面目で、固い仕事の重要な役職にあり、社交的で人脈も広く、要領もよく、異性にも同性の友達にも好かれる方です。
ですので一見、他人から見ると、非常に華やかで満たされていてアグレッシブで、悩みなどないような人に見られます。
でも実態はこれなのです。
メンタルクリニックには最低でも2週間に1回は行っていますが、この性や金銭の逸脱についてはどうしても話すことができません。
大きい買い物をしてしまったあせりが、飲酒の状態で危機的なものと感じ、風俗で働こうという発想になるのかもしれませんが、ふとわれにかえると到底まともとは思えません。
でももちろん、お酒が入っていない時でも実際にそういう場所に足を運んでいるので、酔っ払った状態ですべて行っているわけでもありません。
最後まとめると、
・たいてい夜一人で飲酒したときなど (酒は強いのでけっこうな量を飲みます)、たまにあらぬことを考えつき、それが想像だけに留まらず、実際に行動に移してしまう(風俗店に電話して 翌日面接を受ける、など)。 ただ、おかしな話なのですが、全然性欲はないのです。なので余計腑に落ちないのです。 たいていその後、ひどい自己嫌悪に陥って 死にたくなります。そして自分でなぜその時、そういう発想になり行動しようと思い立ったのか、その経緯が思い出せません。
・そのような最中に起こした行動の中に、覚えていないことがいくつかあります。 たとえば携帯電話の発信履歴などを見たり、メールの送信履歴を見ると、まったく覚えていないものがよくあります。
・ ・・このような、本当に異常な行動を、私はいま実際にしています。
これは、躁うつでしょうか。
それとも、異常性格なのでしょうか。
本当に自分が恐ろしいし、親にも会社のみんなにも本当に恥ずかしく、うつで休職しみんなに心配してもらっているにも関わらず、こんな裏切りをする自分がいやでみじめで情けなくてしょうがありません。
ちなみに現在飲んでいる薬は、
・アモキサン
(1年近くトフラニールでしたが最近アモキサンにしました)
・パキシル
・デパス
・ソラナックス
・マイスリー
です。
この症状は、性格的なものなのか、躁うつの症状なのか、人格障害なのか、いったい何なのでしょうか。自分のやっていることがあまりにも恥ずかしいので、主治医にどうしても正直に相談できません。
もし治せるのであれば、きちんと治して裏表のない生活を送りたいのです。今はこんな自分とつきあうことが嫌でしょうがありません。
林:
たいてい夜一人で飲酒したときなど (酒は強いのでけっこうな量を飲みます)、たまにあらぬことを考えつき、それが想像だけに留まらず、実際に行動に移してしまう(風俗店に電話して 翌日面接を受ける、など)。
でももちろん、お酒が入っていない時でも実際にそういう場所に足を運んでいるので、酔っ払った状態ですべて行っているわけでもありません。
この症状は、性格的なものなのか、躁うつの症状なのか、人格障害なのか、いったい何なのでしょうか。
躁うつ病の症状ではありません。人格障害でもありません。
もともとの性格はある程度までは関係していると思われますが、性格だけで説明できるものでもなさそうです。
もっとも考えられるのは、抗うつ薬の副作用です。
抗うつ薬は、時として、心の抑制力を外すような副作用が出ることがあります。【0898】、【0866】などがその例です。極端な例としては【0900】もあります。
したがって、主治医の先生に今のあなたの状態を説明し、処方内容を調整していただくことが必要です。
自分のやっていることがあまりにも恥ずかしいので、主治医にどうしても正直に相談できません。
しかしここはどうしても話さなければなりません。もしどうしても恥ずかしければ、一部だけでもきちんと話すことが必要です。それをせずに今の薬を飲み続けるのは危険です。(主治医に話さずに自分で薬を調整するのはさらに危険です)