精神科Q&A
【0982】自分は統合失調症に違いないと思えるのですが
Q: 二十代女性です。神経症(敏感状態)と診断されています。
相談内容は、「自分は統合失調症に違いないと思えるのにどの病院もそうは言わない」ことです。
小学生の頃から少しのストレスにも耐えられず感情が不安定で「変な子」と言われ、親のしつけの悪さもあってかあまり常識や身なりにも構えず、そのためにいじめを受けて中学卒業後から結婚するまで引きこもっていました。引きこもっているうちに少しずつ心が安定して来て身なりにかまったり常識を覚えてうまく人と会話できるようになって来ました。その間精神科に通っている時期もありましたが投薬治療を受けることはあまりありませんでした。
ところが二十歳の時インターフェロン投与の治療を受けた時不安定になり(感情が激しすぎてまる二日眠れない、パニックになって泣きじゃくる)、統合失調症が疑われる、と診断されました。
その時はベゲタミンBを一錠飲んだだけであっという間に平静に戻りましたがその後はずっとドグマチールを飲まされています。ですが、医者が薬を飲むことの大事さをまったく教えなかったため「引きこもっていた頃と同じどうでもいい薬だろう」と思い込んでいてたまにしか飲まず、そのためしばしば発作を起こしました。
残虐なニュースを見たり人に悪意をぶつけられたりけんかをしたり、とにかく動揺した時体が震えネットや考え事以外何も手につかずどんどん感情が昂ぶって来るのです。そうなった時はベゲタミンBで抑えれば一発で治ります。
転院先で「もっと真剣に薬を飲め」と言われ言うとおりにしたら発作が起こりにくくなりました(完全にではありませんが)。
今現在新しい病院に移ることになり、予約待ちで一ヶ月病院に通えません。薬は一か月分くらい手元にありそうですがもし切れたら大変なのでと思い一日三回を二回に減らしました。
二日間少なめに飲んだだけでもう悪影響が出て来て、たとえばこのサイトでいろんな症例を見ているだけで自分もいつかこうなるのではないかとか病院に通えない間に発狂するのではないかとか医者はなぜ統合失調症だとはっきり言わないのだとか不安がつのって来て体がガタガタして来ます。
しかし、薬が薄くなったからというより「薄くなったから悪くなる」という暗示で不安が募っているような気もします。
その他周期的に些細な抑圧にも耐えられなくなってキレたり自傷をしてしまったりひどく落ち込んだりします。
こんなに症状が重いのになぜ敏感状態と当たり障りのない診断をするのでしょうか?
私には統合失調症だとしか思えません。
なお、私の父親もまったく同じ性格・症状でした(自分は統合失調症だと言い張るが医者には軽めの病気だと言われる。しかし抗がん剤を投与されたとたん気が狂う)
林: あなたがなぜ統合失調症に違いないと考えておられるのか、その理由がわかりません。確かに、統合失調症に限らず、主治医が本当の病名を本人に告げないことはあります。けれども、この【0982】のケースについては、メールに書かれている症状の中に、統合失調症を強く疑うものは何ひとつありません。強いて言えば、
ところが二十歳の時インターフェロン投与の治療を受けた時不安定になり(感情が激しすぎてまる二日眠れない、パニックになって泣きじゃくる)、統合失調症が疑われる、と診断されました。
このように医師から言われれば、統合失調症を考慮しなければならないのは当然ですが、しかしあなたの場合この病気が医師から疑われたのはあくまでもインターフェロン投与の時に限っています。インターフェロンの副作用として時にかなり激しい精神症状が出るのは【0444】にも例があります。あなたのケースでも一時的な副作用にすぎなかった可能性が高いと思います。
その他、メールの記載からは、不安のレベルがかなり高いことは読み取れます。薬物療法を要する状態ではあるでしょう。しかし、単に不安が非常に強いというだけでは、考えられる病気はたくさんあり、特にその中で統合失調症を第一に考えなければならない理由はありません。こんなに症状が重いのになぜ敏感状態と当たり障りのない診断をするのでしょうか?
どの病気にも重い場合・軽い場合があり、統合失調症も例外ではありません。症状の重さ・軽さと診断名には直接の関係はありません。その意味であなたの認識は基本的に誤っていると言えます。
お父様の症状についても、
なお、私の父親もまったく同じ性格・症状でした(自分は統合失調症だと言い張るが医者には軽めの病気だと言われる。しかし抗がん剤を投与されたとたん気が狂う)
この記載からは、不安は確かに強そうですが、それ以上のことは何もいえません。「気が狂う」というだけの表現からは何も判断することは出来ません。