精神科Q&A
【0965】日常生活に支障がないパニック発作
Q:
私のパニック発作についておききしたいことがあります。
現在42歳(女性)ですが、34歳のとき眼科で小手術を受けたとき、手術台から逃げ出したい衝動や動悸が起こり、手先が痺れてきたので手術を中断してもらいました。その後、手術ができなかったことや手術台での恐怖感にとらわれ、うつ状態になりました。また、仕事にいくことや会議に出席すること、電話にでることなどにいちいちドキドキしていることがしんどくなり、神経内科にかかりました。(病院に電話することや、病院にたどりつくのも相当努力を要しました)
そこでは不安神経症といわれ、1種類のお薬をもらいました。お薬の効果はてき面で日常生活にはほとんど支障がなくなりました。2回目の受診以後、病院にはかかっていません(お薬ものんでいません)。その年は美容院や飛行機に乗るときには動悸がある程度でした。それ以降、発作はまったく起きずに数年すごしていました。(この間、インターネットなどで実はパニック障害だということがわかりました)
40歳のとき、友人が亡くなったときかされたとき、不安感に襲われ、動悸が起こりました。数日後には普通に生活できるようになりました。昨年は、家族で遊園地にいったとき、長い列に並んでいて動悸が起こりました。
今年、タクシーで高速道路を走行中渋滞になり、動悸が起こりました。
これらの発作が起こった時は、家庭や職場での強いストレスがかかっていました。
また何らストレスのない歯科受診の待ち時間にも動悸が起こりました。
これらの発作によって日常生活に支障がでることはありませんが(飛行機、美容院はなんともありません)、今は混雑した空間や閉所などでは「無理かも・・・」といった予期不安が起こります。
先生におききしたいのは、(1)程度としては軽く日常生活に支障はないのですが、気にしすぎでしょうか?(2)主な症状は予期不安だけでも投薬治療を受けたほうがよいかどうか。(3)ここ2年ほど1年に数回動悸が起こる発作があるのですが、悪化しているということでしょうか。という3点です。
長くなりましたが、よろしくお願いいたします。
林: まずあなたの診断はパニック障害だと思います。発作の程度としては軽いといえます。厳密にはパニック障害の診断基準にあてはまらない程度のレベルでしょう。
このようなケースでは、治療すべきかどうかは一概にいえません。日常生活に支障がなければ、放置してもよいというのも一つの考え方です。ですから、
(1)程度としては軽く日常生活に支障はないのですが、気にしすぎでしょうか?
気にしすぎであるかどうかはともかく、本当に支障がなければ、様子をみるだけでもいいでしょう。
(2)主な症状は予期不安だけでも投薬治療を受けたほうがよいかどうか。
予期不安により日常生活に支障があるかどうかが問題です。上記(1)のようにはっきり書かれているということは支障がないと思われますので、投薬治療は必ずしも必要ないでしょう。
ただ、何をもって日常生活に支障ありと判断するかは個人によって違います。あなたのケースでは、
今は混雑した空間や閉所などでは「無理かも・・・」といった予期不安が起こります。
と書かれていますが、もしこの「無理かも・・・」によって行動範囲が制限され、その結果なにかお困りのことがあれば、投薬を考慮することになるでしょう。
(3)ここ2年ほど1年に数回動悸が起こる発作があるのですが、悪化しているということでしょうか。
これは情報不足で何ともいえません。動悸といっても、どの程度なのでしょうか。そして、以前と比べてその頻度や強さはどうなのでしょうか。それらが増しているのなら、悪化していると言えるでしょう。
なお、私がこの【0965】の主治医であれば、投薬はせずに様子を見ると思います。ただし、発作の対策として、常に抗不安薬を携帯することをお勧めすると思います。薬を持っていることによって安心し、発作が抑制されることもしばしばあることです。