精神科Q&A

 【0948】統合失調症の「自我障害」と判断され、たくさんの薬を飲んでいます


Q:私は33歳女性です。5年前に「うつ病」と診断されてそれからずっと精神科に通っています。
最初の2年は友人と同居していた事もありその友人が何も出来なくなった私を無理矢理病院へ連れて行ってくれるような感じだったらしいのですが私はあまりその頃の事を覚えていません。
その当時実家には母と兄夫婦が住んでいた事もあり、実家に私の居場所が無い為にその友人には多大な迷惑を掛けてしまいました。
その後私の病気の事もあって兄夫婦が家から出て行き私が母と二人で住むことになりました。(父とは離婚しています)
最初のうちは私が真夜中に徘徊したり過量服薬を繰り返したりしていたので母が私から目を離さないように監視するようになりました。
その頃の私の症状は無気力でまるで水の中に居るように人の声が遠くに聞こえて私の声も小さかったようです。
文字も書けませんでした。
しかし3年目辺りから回復したのですがその時の主治医(6回程変わっています)が私の病名は「うつ病」ではなく「統合失調症」の「自我障害」であると云いました。
どんな病気なのかと尋ねても「一口では説明できない」との回答と「一生治りません」と云われてしまい相当ショックを受けました。
一生治らないなら薬を飲むのも無意味なのではないかと医者に問い詰めたところ「薬を止めたら元に戻りますよ」と云われてしまいました。
ですが健忘症が酷くなってさっきまで話した事も思い出せない状態になったり夢遊病のようになったりとして処方されている薬に疑問を抱いています。
薬は「フェノバール、ウインタミン、ピレチア、デパケン、リーマス、メトリジン、タスモリン、ムコスタ、リボリトール、サイレース、セロクエル」です。
「自我障害」と云うのはどう云う病気なのでしょうか?本当に一生治らないのでしょうか?
また、私は薬の飲みすぎで肝機能障害も起こしていて疲れ易くなっています。何とか頑張れば働く事も出来るのではないかと思うのですが母に止められています。
私も年齢的に今を逃したら働き先が見つからないのではないかと不安でたまりません。


: あなたの症状として記載されている内容が、
何も出来なくなった
あまりその頃の事を覚えていません。
真夜中に徘徊
過量服薬
無気力

などに限られており、このような症状が現れ得る病気はいくつもありますので、あなたが統合失調症(精神分裂病)かどうかは私にはわかりません(もっとも、総合的にみて、うつ病ではないと思います)。ですから、ご質問にある統合失調症の自我障害についてお答えすることに意味があるかどうかわかりません。あなたに関係があるかどうかは別として、自我障害についてここでお答えすべきかもしれないことは、
一生治りません
という主治医の先生の言葉についてです。
統合失調症の経過は様々ですから、自我障害に限らずどの症状についても、その後どのような経過をたどるか、つまり治るか治らないかについても、予見することはかなり困難です。「治ることも治らないこともある」というのが正確な答えということになるでしょう。もっともこれでは何も答えていないのと同じですが、それが現実です。
もっともそうはいっても、よく見られる経過と稀な経過があります。もっとも多いのは、薬を飲んでいれば安定している、というパターンでしょう。ですからこの主治医の先生が「治りません」とおっしゃったのは、薬を飲み続ける必要があるという意味だったのかもしれません。

ところで、それよりもあなたにお伝えしたいことは、あなたがいま飲んでおられる薬の処方内容は奇妙だということです。
薬の量について記載されていないので、本来ならこの処方が適切かどうかはお答えしようがないというところですが、あなたのケースは特殊です。つまり種類があまりに多く、しかもその内容に一貫性が見られません。変なたとえですが、塩と砂糖と醤油とソースとケチャップを混ぜたような処方と言えるでしょう。
もっとも、治療が困難なケースでは、処方変更を重ねていくうちに、多くの種類の薬が併用されることはありうることです。そのような場合は、結果としては奇妙な処方でも、現実にはやむを得ないということもあるでしょう。あなたのケースでは、先にお書きしたように、症状も診断も不明な点が多いので、治療が困難だったと考えることも出来ないことはありません。しかしそうだとしてもこの処方は納得できるものではありません。でたらめに近いと言いたいくらいです。

健忘症が酷くなってさっきまで話した事も思い出せない状態になったり夢遊病のようになったりとして

これが副作用かどうかは何ともいえません。薬の量が記載されていないからです。しかしあなたの処方の中のいくつかの薬の量が一定以上であれば、このような副作用が出る可能性はあります。

また、私は薬の飲みすぎで肝機能障害も起こしていて疲れ易くなっています。

それよりも重視すべきなのはこの肝機能障害です。もっとも、これも検査結果の数値の記載がありませんので、どの程度の障害なのかはわかりません。しかし、あなたの感じておられる疲れ易さが本当に肝機能障害によるものであれば、処方は変更しなければなりません。ところが、このように多種類の薬が処方されていると、肝機能障害の原因薬がどれであるかを知る方法がないので、変更といっても困難なのです。そういう意味でも多種類の薬の処方は好ましくないと言えます。

結論として言えるのは、あなたの処方には大いに疑問があるということです。病院を変えたほうがいいと私は思います。





精神科Q&Aに戻る

ホームページに戻る