精神科Q&A
【0947】最近首が痛いほど右に曲がるのですが
Q:
私は18歳男、高機能自閉症の診断で精神科に通っています。
不眠によるイライラがあり、医師よりホーリット20mgを5錠・ロヒプノール2mgを1錠処方され寝る前に服用しています。
飲み始めて以降、眠れるようにはなったのですが、首が痛いほど右にまがり、意識してもなかなか前をむけません。
ホーリットによる副作用ではないかと相談したのですが、そういった副作用はこの薬にはないはずである、との事です。当初ホーリット7錠から2週間ごとに1錠づつ減らしてはきたのですが、いまだに首の曲がりが改善されません。一度ホーリットを飲まずにいたら、多少改善された気もして、服用をやめようかとも考えています。ただ、そうすると眠れなくなるのですが・・・
原因はホーリットではないのでしょうか?
ご回答いただければ幸いです。
上記2薬品のほか、レキソタン5mgを頓服として、副作用止めとして、ヒベルナ糖衣錠25mg・頻脈の薬としてインデラル10mgを服用しています。
林:
飲み始めて以降、眠れるようにはなったのですが、首が痛いほど右にまがり、意識してもなかなか前をむけません。
これはホーリットの副作用のジストニアと呼ばれる症状です。ホーリット以外でも、抗精神病には、程度の差はあっても、ジストニアは現れうる副作用です。あなたがいま飲んでおられる薬では、ホーリット以外の原因は考えられません。
ホーリットによる副作用ではないかと相談したのですが、そういった副作用はこの薬にはないはずである、との事です。
「ないはずである」とどなたがおっしゃったのか、この文からは不明ですが、主治医がおっしゃったのでしょうか。だとすれば、理解に苦しむところです。
医師とはいえ、あらゆる薬のあらゆる副作用の知識を持っているわけではありませんが、自分の処方する薬に関して、頻度の高い副作用や重要な副作用は知っているのが当然です。抗精神病薬によるジストニアは、頻度はいわば中程度ですが、いったん生じると本人にとってはかなり苦痛になることもあって、精神医学では常識に属する副作用です。精神科医でこの副作用を知らないというのはまず考えられません。
ですから、もしホーリットにはこのような副作用はないはずである というのがあなたの主治医の言葉であるとすれば、考えられることは、
(1) 薬についての最低の知識を持っていない精神科医である
あるいは
(2) 副作用であるという知識は持っていたが、何らかの理由であなたにそれが副作用であることを伝えるべきでないと判断した
のいずれかということになります。
(2)の「何らかの理由」とは、副作用があってもどうしてもその薬を飲み続ける必要があり、しかも、そのことをあなたに説明するべきでないという判断があった、というようなことです。
しかしあなたのケースでは、メールを読む限り、これは考えにくいことです。
ホーリットが処方された理由が、不眠によるイライラであるとすれば、他にも有効な薬はいくらでもあるからです。ですから当然ここは、首が曲がった時点でホーリットを即中止し、他の薬に変えるべきでしょう。
もっとも、メールに書かれていない何か重大な症状があなたにあり、それにはホーリット以外では対処できないという事実があれば話は全く別です。そうでない限りは、「ホーリットにはこのような副作用はないはずである」という言葉の理由は上記の(1)であると判断せざるを得ず、だとすればこの医師の知識、さらには治療にも疑問を持たざるを得ません。