精神科Q&A
【0912】私のうつ病は回復期に入っているのでしょうか
Q: 私は38歳の女性です。
1年前に激しい頭痛と嘔吐が起き、どこに行ってもよくならず心療内科を受診し、うつに近い状態との事でレスリンを1日1錠投与されました。
すると驚いた事にあれほどひどかった頭痛が一気におさまり、その後、体調も落ち着き安定していたと思った矢先、無性に焦燥感にかられ、集中力がなくなり落ち着きがなくなり物事全てがおっくうでした。
そのうちに突然また頭痛と嘔吐、さらにはめまい、耳鳴り、歩いていてもフワフワとし食欲が無くなり、全てが嫌になり、気が付くと涙を流してしまう自分に驚きました。
改めて病院に駆け込み、泣きながら現状を話したところ
「うつ病ではないが、うつ状態である。」
と、言われ9カ月前から休職する事にしました。
思えば、母子家庭で仕事の事、お金の心配、3人の子どもの世話や、長女が受験を控えていたりまた母親のように慕っていた叔母の死、など色々あったのが原因だったのかもしれません。
それ以来、処方されている薬は
スルピリド・トレドミン 1日3錠
寝る前に レスリン25 スルピリド パキシル 各1錠
です。
薬を飲みだしてからは大波小波ありますがほぼ安定している気がします。
ところが、あまりにも朝起きられず、また起きてもボーっとしてまた寝てしまうと相談したところ、パキシル→デプロメール1錠に2週間前変更になりました。
ご相談したいのは、これからの私の過ごし方です。
本当は早く働いて生活費を稼ぎたいのですが・・・
休職して6ヶ月が過ぎます。
春に正社員の話があり働く予定でした。
ですが、
「こんな調子で働けるだろうか」「仕事と家事の両方が今まで通り出来るだろうか」など考えていたら体調が悪くなり、気持ちが落ち込みやる気もなくなりついには学校のPTAの役員にもなってしまい、「全部両立できるだろうか」と不安が大きくなりまた頭痛が起きてしまいました。
結局、主治医にも相談してアドバイスをもらい仕事は断りました。
それから、知人の紹介で週2日アルバイトをしました。
ところが、週のうち1日は元気良く行くのですが2日目になると、朝からひどい眠気やだるさで布団から出られず休みが多くクビになってしまいました。
パキシルからデプロメールに切り替えたのもそんなことがあったからです。
ところが皮肉な事に2、3日前から、ものすごく調子がよくて今ならなんでも出来そうな気がするのです。
ただ、今までもそんな時期があっても、すぐにまた無気力な気分やひどいだるさ・眠気を繰り返してきているので、実際のところ、仕事をしても続かないのではないかと思うと、働く事がこわいのです。
このような状態で私は回復期に入っているのでしょうか?
それとも、とっくに回復しているのに、ラクをしたくて逃げているだけなんでしょうか?
もし、回復期に入っているなら、今後何に気をつければいいのでしょう。
林: あなたはうつ病の回復期に入っています。
2、3日前から、ものすごく調子がよくて今ならなんでも出来そうな気がするのです。
ただ、今までもそんな時期があっても、すぐにまた無気力な気分やひどいだるさ・眠気を繰り返してきている
最近のあなたの状態は、上記の記述に要約できるでしょう。これは、 うつ病の相談室や軽症うつ病にも書かれている通り、揺り戻しとか微小再燃などと呼ばれているものです。【0253】などもご参照ください。これはうつ病の回復期の特徴であり、再発でもなければ、あなたがラクをしたくて逃げているわけでもありません。回復に向かっているという点では自信を持って、その一方で回復をあせらず治療を続けることが大切です。
回復期のうつ病の方は、あなたのように、自分は今さぼっているだけではないか、甘えているだけではないか、という考えを持ちやすいものです。上記の本にも明記されているとおり、また今あなたが体験されているとおり、この時期は日によってかなり調子がいいこともあるので、そうした考えにつながりやすいのですが、うつ病の回復期はこのような経過を取ることがしばしばあるのです。
上記のことを認識され、ご自分を責める気持ちは極力捨て、あせらず寛解を目指してください。