精神科Q&A

【0106】 脳の病気、と単純に決めつけられることに抵抗があります 


Q:  私は精神科にかかっています。林先生のHPでは、こころの病は脳の病気だと書いてありますが、そんな単純なものではないと思います。私たちはもっと深く悩んでいることをよく理解して頂きたいと思います。  

: 「脳の病気」であることと、「深く悩んでいる」ということは、相反することではありません。悩みの原因が脳の中にあると言われると抵抗を感じるというのはよく理解できます。けれども、悩みも、苦しみも、怒りも、喜びも、すべては脳に関係することは否定できません。ですから、こころの病というものを本当に治したいと思ったら、脳との関係を考えないわけにはいきません。このことがあまり意識されていないことが多いために、私のサイトではこころの病の原因が脳にあることを強調しているのです。ただし、脳の中の、たとえばある部分に何か障害があると、それによってある悩みが出てくるとか、そういう単純なことを言っているのではありません(ただし、まれにはそういう病気もあるのは事実ですが)。決して脳を(たとえば薬などで)治療すればそれだけですべてのこころの病が解決するとはどこにも書いてありません。

それからもうひとつ。「深く悩んでいることを理解して頂きたいと思います」という気持ちはよく理解できます。しかし、もし仮に、「理解する」ことと「治す」ことと、どちらかを選ぶことになったら、私は迷わず「治す」方を選びたいと思っています。治せなければ、理解しようが、話を聞こうが、説得力のある理論を展開しようが、患者さんにとっては無意味でしょう。そして、「治す」ためには、こころの病の原因を脳に求めることが結局は絶対条件だと私は考えています。

 


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