精神科Q&A
【0853】境界型人格障害者への代替療法について
Q:
私は代替療法の一つである催眠療法やアロマテラピー、マッサージなども行なっている34歳(女)です。催眠療法は、約4年ほど前から行なっておりますが、以前は仕事をしながらのセラピーが中心でした。1年前よりアロマを含め独立しセラピーを行なっております。
最近になり、「過去に精神科、もしくは心療内科にかかっていたが、効果がないので催眠療法を受けたい」との相談を受けることが多くあります。
私自身は大学などで専門的な学習をしておりませんので、精神科、もしくは心療内科に通院している、または過去に通院をしていた方の治療はまずお断りしますが、どうしても受けたいといわれる方へは、医師の許可を頂いた上で行なうようにしております。
特に境界型人格障害の方への催眠療法においては、調べても臨床例がなく、私の専門的知識がないため極力お断りしているのですが、中には、境界型人格障害と診断されたことを隠してセラピーを受ける方もいらっしゃいます。
こういう場合、私のような代替療法をしているものとして、どのような対応をしたら良いかをご指導していただきたいと思います。
現在のセラピーの流れとしては、
1.電話にて簡単に現在の状況をお話いただく(既往症、精神科などへの通院歴など)
2.既往症、精神科などへの通院歴がある場合、相談の時点で通院していなくても必ず医師の許可を得ていただく。
3.医師の許可が得られなかった場合、セラピーをお断りする。
このような流れで行なっております。
アドバイスよろしくお願い致します。
林: まず医師の許可を求めるというあなたの方針は正しいと思います。
ただし、医師の許可を絶対視することは危険です。つまり、たとえ医師の許可があっても、あなたの行っている代替療法によって病状が悪化する可能性も十分あるということです。
というのは、私もそのような診断書を求められて書くことは時おりあるのですが、その場合はよほど不合理な要求でない限り、許可するという形で書くことがほとんどなのです。
厳密なことを言えば、その患者さんが受けようと計画している代替療法の内容が詳しくわからない限り(つまり、代替療法には相当なイカサマもあるので、本当は受けるのが適切かどうかは全くわからないのです)、許可するともしないとも書けないわけです。しかしそれではせっかく新たな治療に期待を抱いている患者さんの希望を打ち消すことになってしまうので、大体は許可すると書くのがほとんどになります。
したがいまして、たとえ医師の許可を得てあなたの治療を受けに来た場合でも、その患者さん自身のためには、あなたがあなた自身のプロフェッショナルとしての知識と経験から、慎重にご判断することが必要だと思います。