精神科Q&A
【0845】夫はうつ病と信じていますが、転院先で「精神的に未熟」と言われました
Q: 夫(35歳)は 10ヵ月ほど前、心療内科でうつ病と診断され、昨秋からは休職もしましたが、少し良くなったかと思うと、些細なことで落ち込んだりの繰り返しでした。
今年に入ってどうしても働きたい、前の職場は嫌だということで転職しました。
新しい職場に溶け込めずまたうつ状態がひどくなってきて、社長からは勤務態度が悪いと言われ、2週間で辞めることになりました。
それから1ヶ月家で休養し、また別の職場に就職したところです。
私だけで先生とお話した際、「うつ状態ではあるだろうけれど、うつ病ではない感じがする。
最近増えているが、病気に逃げているように思われる。精神的に未成熟」とおっしゃっていました。
私は躁鬱も疑っていたのですが、躁と鬱の期間がそれぞれある程度続くわけではないので、躁鬱とは考えられないとおっしゃっていました。
最近、こちらで境界型人格障害の説明を読んで、そうなのではと思うようになりました。
感情が不安定、一日単位、数日単位で変わる
ささいなことでイライラする
見捨てられ不安が強く、私の言動に一喜一憂する
甘えてくる時もあれば、私の言い方にこだわって怒ったりする
けんかして離婚話になった際、実行にうつしはしないが、「もう俺なんか死ねばいいんだね」「もう俺なんか嫌いなんだね」など言う(「そんなことないよ」と言わざるを得なくなる)
浪費癖がある(現在は私がカードを預かっています)、乱暴な運転をすることがある
他人から少しでも気に入らないことを言われると、嫌いになる
ほかに気になるところは、
他人に、自分がうつ病であることを言いたがる(言った方が楽になると思っているようです)
周りの人がいい人であれば機嫌よく働いているが、周りの人が優しくしてくれないと居づらくなる
何か問題が起きた時の対処能力が低い(どうすればいいか私にいちいち聞いてくる)
境界型人格障害の可能性はあるでしょうか? あるいは擬態うつ病でしょうか?
あるいは他に考えられる病気はありますか?
夫の親がなかなか状況を理解してくれないので、はっきりした病名がついた方がいい気がするのですが、病名をはっきり本人に言うかどうかは、先生と相談した方がいいでしょうか?
林: 主治医の先生のお話のとおり、あるいはあなたのご指摘のとおり、うつ病ではなさそうです。擬態うつ病というのは、うつ病でないのにうつ病とされているものの総称ですから (と言っても私がそう決めただけのことですが)、
擬態うつ病でしょうか?
擬態うつ病の一種であるとは言えるでしょう。
境界型人格障害の可能性はあるでしょうか?
これについては何とも言えません。もちろん「可能性」という言葉通りの意味からすれば、常に可能性はあると言えますが、人格障害と言えるほどのレベルかどうかは判断しかねます。
病気に逃げているように思われる。精神的に未成熟
という、主治医の先生のご指摘がもっとも当てはまると思います。(そしてこれは擬態うつ病の中のある一群 --- 大きな一群 --- の特徴でもあります)
夫の親がなかなか状況を理解してくれないので、はっきりした病名がついた方がいい気がするのですが、病名をはっきり本人に言うかどうかは、先生と相談した方がいいでしょうか?
そのほうがいいと思います。 このようなケースでは、病名をどう告げるかは、それ自体が治療の一部にもなりますので、主治医の先生のご意見を傾聴する必要があります。