精神科Q&A
【0833】最近急に神経質になり、幻聴も出てきた
Q:
友人は、女性、30代半ばです。独身です。
彼女とは昔からの友人ですが、しばらく会う機会がなく、最近1年半ぶりに会ったところ、「急に神経質になったな」という印象を受けました。手を何度も洗ったり、歯を磨いてからでないと人前に出なくなったり、水を気にしたり、空気を気にするようになりました。その神経質さは、少し病的に思えました。
その後半年ほどして会ったときには、「幻聴が聞こえる」というようになり、痩せていて、暗くなっていました。眠れないことも多いようで、「集中できない」と話していました。
最初は、霊的なものがからだにはいっていて、彼女に、「あれをしてはいけない、こうしたほうがいいと指示する」と話していました。
その後は、殺すとか死ねとか言うようになったようで、その頃から、両親とは離れて、離れのプレハブにこもるようになりました。
先日あったときは、その数ヶ月前に会ったときよりも、「幻聴にひたりきってしまっている」という印象を受けました。
今は、「ケラケラ」とひとりわらいをしているのを見かけることが多くなりました。性的な話題も多いようです。「可笑しいことを言う」といってよく笑っています。
幻聴は、一日中、夢の中にも入り込んでいると言っています。
彼女の両親からも、よく彼女の話で相談されていますが、彼女は薬に対して異常なほど神経質になっていて、「飲みなさい」というと、泣いて怒るそうです。一度、内科の薬で、肌に発疹が出来たらしく、そのことが相当ショックだったらしいのです。
病院には幻聴が聞こえ出したとき、一度だけいったのですが、その時は医師のほうから「こんなしっかりした患者さんは診たことがない」といわれたそうです。
その後は彼女が「病気ではない」と言い張るので、病院には行っていません。
でも、私は月に一度程度、彼女とあって1〜2時間話を聞かせてもらっていますが、私から見て、どんどん悪くなっているように思えて、とても心配しています。
彼女は、病気でしょうか? 何の病気なのでしょうか?
林: この女性は統合失調症(精神分裂病)だと思います。 経過としてはかなり典型的です。
「急に神経質になったな」という印象を受けました。手を何度も洗ったり、歯を磨いてからでないと人前に出なくなったり、水を気にしたり、空気を気にするようになりました。その神経質さは、少し病的に思えました。
このように、初期に神経症のような症状が見られることは、統合失調症ではよくあることです。そして、
「幻聴が聞こえる」というようになり、痩せていて、暗くなっていました。眠れないことも多いようで、「集中できない」と話していました。
このように、次の段階として幻聴が現れれば、統合失調症の診断はほぼ間違いないと言えます。
最初は、霊的なものがからだにはいっていて、彼女に、「あれをしてはいけない、こうしたほうがいいと指示する」と話していました。
これは幻聴ともさせられ体験とも思考伝播とも解釈できます。いずれにせよ、自分の中に他者の存在を感じ取るという意味で、自我障害と呼ぶことができます。統合失調症の典型的な症状です。
その後は、殺すとか死ねとか言うようになったようで、その頃から、両親とは離れて、離れのプレハブにこもるようになりました。
危険な徴候です。このような統合失調症の初期症状を放置すると、自殺などの重大な帰結になることはしばしばあります。
彼女の両親からも、よく彼女の話で相談されていますが、彼女は薬に対して異常なほど神経質になっていて、「飲みなさい」というと、泣いて怒るそうです。一度、内科の薬で、肌に発疹が出来たらしく、そのことが相当ショックだったらしいのです。
発疹の既往は不幸なことだったと思いますが、今の症状からすると、そんなことを言っていられる場合ではありません。なるべく早く精神科を受診し、治療を受けさせてあげてください。