精神科Q&A

 【0831】身体表現性障害と診断され、一生治らないと言われました


Q:中学3年になる娘です。昨年夏頃より頭痛肩こりを訴えて、日常生活にも支障をきたすほどです。内科、小児科、婦人科、眼科で受診し異常なしと診断されます。
最近では漢方を処方し、若干落ち着いたようですが、やはり頭痛は引かないようです。

よく観察してみると、昨年テストの成績が1番になってから発症したようで、頭痛が発症するのは、テスト前だったり、学校が始業する前だったり、日曜日の夜だったりします。しかし学校では友達も多くいじめとかの問題は一切ないようです。(友達や複数の先生からも聞いているので間違いないと思います)

最近では、ストレスがあると頭痛が悪化するという現象が顕著です。
又夜になると不安なことを想像し(どんな高校も受からないとか、学校に行きたくないとか)夜眠れないようです。
朝はどんなにきつくても学校には今のところ行っています。
私(父)は、「行きたくなければ行かなくてもいいよ」というと、「今日は数学があるから行く」など言って必ず登校します。妻(母)は、「1度休むと登校拒否になるから保健室で寝ててもいいから行きなさい」と叱咤します。
頭痛で1〜2時間保健室ということもしばしばのようです。

性格的に根がまじめで、使用していない部屋の電気を消さないと気が済まないとか、部屋が散らかっていると眠れず、掃除してから寝るほどです。

そこで、昨日精神科を受診させました。5分ほど別室で診察し「身体表現性障害」と診断され、「一生直らない、悪化していく、もうすぐ登校拒否になる、自分の非(痛みやストレスの原因、学校が嫌いだという事実)を認めないのでカウンセリングも無駄」などかなり悲惨的な事を言われました。薬も睡眠薬を投与され、「15分くらいで寝ます」と言われましたが、昨日も10時に床に就き投薬しましたが、深夜2時頃まで眠れなっかたようです。

身体表現性障害とはやはり治らないのでしょうか?
上記症状で、抗うつ剤の投与やカウンセリングなど意味ないのでしょうか?
他の病院での受診も考えた方がいいでしょうか?


: この医師の言うことは滅茶苦茶です。病院を変えることを強くお勧めします。
 もっとも、診断名の「身体表現性障害」は、間違いとは言えないでしょう。身体症状が中心で、しかも原因となる身体疾患が発見できないからです。つまり、身体症状の原因として心理的なものが強く推定できるということです。
けれども、身体表現性障害の背景は様々で、したがって経過も治りやすさも様々です。5分程度の診察で「悪化していく」などの予測が可能になるとは通常は考えられません。たとえ5分が30分であっても、正確な予測は出来ないというのが本当のところでしょう。したがって、

一生直らない、悪化していく、もうすぐ登校拒否になる、

という判定がまず疑問です。

さらに、

自分の非(痛みやストレスの原因、学校が嫌いだという事実)を認めないのでカウンセリングも無駄

これは全く滅茶苦茶な判定と言わざるをえません。カウンセリングとはそんな単純なものではありませんし、そもそも心理的な原因によって身体症状が出るのは、心理的な原因が自覚できないことが要因(すなわち、痛みやストレスの原因、学校が嫌いだという事実などをストレートには自覚できない)であることも少なくありません。そこにアプローチするのがカウンセリングのひとつの方法です。それに、「痛みやストレスの原因、学校が嫌いだという事実」が「自分の非」だというのも常識外れの表現と言わざるをえません。

身体表現性障害とはやはり治らないのでしょうか?

そんなことは全くありません。
(ただしこの医師が、「身体表現性障害とは治らないものである」と述べたのか、「あなたの娘さんの身体表現性障害は治らない、あるいは治りにくい」と述べたのかは不明ですが)

上記症状で、抗うつ剤の投与やカウンセリングなど意味ないのでしょうか?

そんなことはありません。効果は充分期待できます。

他の病院での受診も考えた方がいいでしょうか?

考えるだけではなく、なるべく早く他の病院を受診してください。


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