精神科Q&A

【0820】強迫観念の治療のために薬を飲むべきか


Q私は23歳の女性で会社員をしています。約1年前に精神科を受診し、強迫神経症と診断されました。

自分がおかしいという自覚はあるものの、病気なのかどうか疑ってしまっています。自分は病気なのか、通院して治るものなのかを教えてください。

自分で自覚している症状はおかしな妄想が頭から離れないことです。テレビを見ていると疑似体験している気分に陥ってしまう為、映画やドラマ、ニュース等は見られなくなってしまいました。(恐怖体験や恋愛体験をしたと感じて思い悩んでしまい、それが頭から離れなくなってしまうので)高校まではまだかろうじて見れていましたが、今は見ると夜眠れず、怖くて泣いて過ごすようになってしまい、極力テレビのない生活を送っています。

去年の今頃までは『ナイフを持った人が突然現れて暴れまわったり、自分に向かってくる』という観念に悩まされていましたが、その後の経過で改善されました。ですが、現在は『自分が万引きをしようとしている』『自分が彼氏や家族(親しい人)を殺そうとしている』『突然自分が道や店の中、会社で叫びだす』などの観念が主となりました。慣れないところへ行くと以前の『ナイフを持った人が自分を襲う』といった観念もでてきます。

強迫神経症のよく言われる症状の『潔癖』『確認』等の行動は病的というほどありません。強迫観念と言われるものが自分にとって厄介です。自分が実際に行動にでることはない(だろう)し、自分が襲われることも単なる妄想に過ぎないと思っています。ですが、どんどんその考えばかりが頭に浮かんで何かを楽しむことや仕事をするのにとても苦労してしまいます。また、一緒に仕事をしている社員の名前を忘れたり、仕事中に自分が今何をしているのか忘れてしまったり、出掛けても何しに来たのかわからなくなったり等の物忘れにも困っています。(ですので、仕事以外では1 人では不安で家族や彼氏と常に過ごすようにしています)

始めて精神科を受信した病院で医師に「考えなければいい話だ」と言われてしまい、そこの病院へは一度行ったきりで別の病院へ行くことにしました。次の病院では「死ぬ病気ではないので極力薬はだしたくない」と言われました。その病院で「ガマンできない時に薬を飲んであとは薬に頼らないようにいきましょう」と言われたので不安で何も手につかなくなった時だけ飲むようにしていました。薬は始めの病院でルボックス25mgで次の病院ではレキソタン2mgと不眠を訴えたのでマイスリー5mgを貰いました。レキソタンは辛い時に昼食後だけ服用するのが1ケ月位続き、あとは1ケ月に一回飲むか飲まないかというペースで今まできました。

通院を始めてから1年経ちましたが改善しているとは思えず、そもそも死ぬ病気ではないから薬を飲まないのならば、自分が病気なのかどうかもわからなくなってしまいました。『ナイフを持った人に襲われる』という観念は小学校高学年位からずっとあったもので、自分は心配症か夢でもみているんだと思っていました。物忘れも人より頭が悪いだけだと思って過ごしていましたが、ネットで『強迫神経症』という病気を知り、精神科を受診することを決めて今に至っています。これは薬をきちんと服用すれば治るものなのでしょうか?単に私が神経質で心配症なだけなのでしょうか?

自分がそのうち気がおかしくなるのではないかと不安でしょうがありません。人生がどんどん暗い方向へ向かっていくような気がしてなりません。


: まずあなたの診断名は、強迫神経症(強迫性障害)だと思います。

強迫神経症のよく言われる症状の『潔癖』『確認』等の行動は病的というほどありません。

潔癖、確認等がほとんどない強迫性障害の方もたくさんいらっしゃいます。

強迫観念と言われるものが自分にとって厄介です。

あなたのように、強迫観念だけに悩んでおられる強迫性障害の方もたくさんいらっしゃいます。

ネットで『強迫神経症』という病気を知り、精神科を受診することを決めて今に至っています。これは薬をきちんと服用すれば治るものなのでしょうか?

薬の効果は期待できます。しかし、だから薬を飲むべきかどうかについては、いちがいには言えないところです。あなたの受診された先生の、

「死ぬ病気ではないので極力薬はだしたくない」

という方針も、一理あるといえます。
もちろん、では薬を出すのは死ぬ病気に限るのか、と問い返されれば、そんなことはなく、命にかかわらなくても重大な病気はたくさんありますから、「一理ある」というのは、あくまで限定された「一理」にとどまります。

つまり、あなたのような症状の場合、薬を飲むべきかどうかは、あなたがどのくらい症状で苦悩しておられるかに大きくかかわってくるということです。

その病院で「ガマンできない時に薬を飲んであとは薬に頼らないようにいきましょう」と言われたので不安で何も手につかなくなった時だけ飲むようにしていました。

最初の方針としては、これは理解できるものです。そしてどうしても薬を飲む機会が多くなるようであれば、むしろきちんと規則的に飲むという方針に切り替えることが考えられます。

レキソタンは辛い時に昼食後だけ服用するのが1ケ月位続き、あとは1ケ月に一回飲むか飲まないかというペースで今まできました。

この経過を見ると、時々薬を飲めばそれですむようにも判断できますが、

通院を始めてから1年経ちましたが改善しているとは思えず、

結局はあなたのこの自覚症状が最大のポイントです。
行ったり来たりのはっきりしない回答で申し訳ありませんが、結論をひとことで言えば、
あなた自身の苦しみが大きければ、薬をきちんと飲むべき
ということになります。そして、その効果は十分期待できると思います。(ただしこれはあなたのケースではそうだということです。自覚症状だけによって薬の飲み方を決めるのは、病気によっては非常に危険なこともよくあります)


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