精神科Q&A
【0800】不安を薬で抑えるのをやめさせたい
Q: 25歳女性です。付き合って2年になる現在28歳の彼がいます。
付き合ってから間もなく「不安を抑えるために薬を飲んでいる」と打ち明けられました。
正直に言ってくれたことは良かったのですが、私としてはあまり薬で解決してほしくなく、飲まないでというとかかりつけの先生に相談後、飲むのをやめてくれたのです。
しばらく前に、薬を飲んでるか尋ねたところ飲まなくても大丈夫といっていたので安心していたのですが、最近になってまた飲んでいるといわれ、正直ショックを受けてしまいました。ちゃんと職もあって貯金もあるし、結婚も予定している、というとこで何の不安もないはずだと思ってしまうのですが。
私もつい責めてしまい、彼は「何で理解してくれないのか」となってちょっとギクシャクしてしまいました。
彼は誰でもひく心の風邪なんだからといって必死に説明し、私も理解してあげなければいけないのはわかっていても、どこかしっくりいきません。彼もそのうち「わかる?…わからないだろうなぁ」と言い出し、私は悲しくなってしまいました。
だからといって別れるつもりはないのですが、薬とは一生付き合わなければならないのでしょうか?
不安の原因は、学生時代に対人関係のこじれから来ているようなのですが、これを取り去ることはできないのでしょうか。症状的には軽いということですが。
自分が心の支えになれないということが、ものすごく悲しいですし、どうしたらよいのでしょう?
林: あなたの考え方と対応は間違っています。あなたと彼のために、認識をあらためるべきです。そうしない限り、将来の結婚生活は希望の持てないものになるでしょう。
あなたの最大の問題は、彼の病名もわからない状態で、薬の中止を求めていることです。彼は、
「不安を抑えるために薬を飲んでいる」
とあなたにお話したとのことですが、これだけでは病名はわかりません。言葉どおりに取れば、「誰にでもある不安を薬で抑えている」と解釈できないこともありませんが、逆に、どうしても薬が必要な病気にかかっておられて、しかし病名は少なくともその時点ではあなたに伝えたくない理由があったため、このような表現をとったとも考えられます。そういうケースは非常に多いものです。
薬とは一生付き合わなければならないのでしょうか?
それは病名と薬の内容によります。一般論としてはお答えすることはできません。
もし、あなたとこの「彼」が完全に他人であれば、「余計な口出しをするべきではない」とアドバイスするところです。薬を飲んでいる理由もわからずむやみに薬をやめることを勧めるのはきわめて無責任な行為だからです。
けれども、お二人がご結婚を予定されているとすれば、話は違ってきます。彼がどういう病気で、何のために薬を飲んでいるのか、正確に把握しておくべきです。
不安の原因は、学生時代に対人関係のこじれから来ているようなのですが、これを取り去ることはできないのでしょうか。症状的には軽いということですが。
これが本当に事実なのかどうか、もう一度確認が必要だと思います。
症状的には軽いということですが。
あなたの態度が、彼に、「症状的には軽い」と言わざるを得ないようにしているのではないでしょうか。メール全体からはそのように感じられます。
彼の本当の状態と、何のための薬かということを正しく把握することがまず必要です。そのためには彼とともに主治医の先生のお話を聞く必要もあるかもしれません。
なお、ある意味で対照的な例として、【0808】もお読みください。