精神科Q&A

【0798】私と私の恋人はアルコール依存症でしょうか


Q私(女性 20代後半 派遣社員)と、私の恋人(男性 30代後半 派遣社員)の、 飲酒についてのご相談で、メールさせていただきました。 

もともと私たちは、二人とも、お酒が好きで、付き合いはじめてからこの3年間、土日の夜などには、一緒につまみをこしらえては、お酒を飲み交わしてきました。 
ところが最近、 アルコール依存症についての知識などをつけるうちに、 私たちの飲み方について、疑問に思うようになってきました。 

まず、彼の方なのですが、仕事でいらいらしたり、疲れて帰ってきた夜には、憂さ晴らしに、 必ず飲んでいるようですし(平日週2回程度)、 
ケンカをすると、これ見よがしに私の前で、強いお酒をあおったりしたこともありました。 暴力は決してふるう人ではありませんが、お酒を飲むと、怒りっぽくなったりすることもあります。 

また、バブル世代なせいか、飲み会でお酒を断る、ということも「盛り下がるから」という理由でできないようです。 
「相手が飲んでくれない切なさを知っている」とも言います。 
私との夕食にも、お酒が無いと、気が乗らないようで、 その後に何か用事があったとしても、ビールを開けずにはいられない雰囲気があります。 

私も、「夕食後に、仕事の勉強をしたいから、今夜はやめておこう」と思っていても、彼との食事になると、つい、飲んでしまうことが多いです。お酒の無い食事は、なんだかとても不完全な夕食、といった雰囲気です。 

アルコール依存症は、長い時間をかけて進行する、と言いますが、 彼はもともとお酒が強く、10〜20代のころ、よく大酒を飲んでいたようです。 

また、私も20代前半の頃、学校や家族とうまくいっておらず、嫌なことを忘れようとして、お酒を飲み、二日酔いになったりしていた時期がありました。 
現在も、たまに(月1回程度)、憂さ晴らしのような形で飲んでしまうことがあります。 

これだけ書くと、私たちは、あきらかにアルコール依存症のようにも思えますが、朝から飲んだり、というのも、お正月くらいしかやりません。

なので、林先生にお聞きしたいのですが、 
私たちは、今すぐ断酒するべき、アルコール依存症患者なのでしょうか? 
そうだとすると、アル中は初期介入が重要だと言いますが、どうすればよいでしょうか? 

私は、祖父や同僚にアルコール依存症の人たちがおり (彼らは仕事や家庭はあっても、毎晩、浴びるほど飲んでいたので、明らかに依存症でした) 、その病気の、本人やその周囲に、にじり寄るような悪影響や、破滅を、目の当たりにしています。 そうなる前にやめたいと思います。 

しかし、彼の方は、連続飲酒をするような人がアル中、というような認識で、自分の飲み方はそれとは違うという意見で、あまり取り合ってくれません。 

インターネットなどを見る限り、 
「酒をやめるべきだ」と、ただ周囲が言うだけでは、改善は難しいようです。 
ある程度、症状がいくところまでいかないと、病識を持たせることは難しいという印象をうけます。 しかし、そうなる前に止めたいと思います。 

可能であれば、正しい認識と、対処などをご助言いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。 


: アルコール依存症かどうかの最大のポイントは、コントロールを失った飲み方をしているかどうか(コントロール喪失飲酒)ということです。これを簡単に言うと、「やめたいと思っているのにやめられない」ということになりますが、実際には飲み方をよくお聞きして(それも本人と周囲の方の両方から)はじめて判断できることです。

ですからあなたとあなたの恋人の飲み方がアルコール依存症といえるかどうか、メールからの判断はかなり困難ですが、いくつかアルコール依存症らしい点がみられますのでそれをご指摘しておきます:

まず、彼の方なのですが、仕事でいらいらしたり、疲れて帰ってきた夜には、憂さ晴らしに、 必ず飲んでいるようですし(平日週2回程度)

アルコールを安定剤がわりに使うというのは、ひとつの危険な徴候です。 

また、バブル世代なせいか、飲み会でお酒を断る、ということも「盛り下がるから」という理由でできないようです。 
「相手が飲んでくれない切なさを知っている」とも言います。 


自分の飲酒にもっともらしい理由をつけて正当化するのは、アルコール依存症によく見られる否認です。(そもそもアルコール依存症でないのなら、お酒を断る言い訳をする必要はないはずだともいえます)

私も、「夕食後に、仕事の勉強をしたいから、今夜はやめておこう」と思っていても、彼との食事になると、つい、飲んでしまうことが多いです。お酒の無い食事は、なんだかとても不完全な夕食、といった雰囲気です。 

やめるつもりでもやめられない。形としては明らかにコントロール喪失です。

アルコール依存症は、長い時間をかけて進行する、と言いますが、 彼はもともとお酒が強く、10〜20代のころ、よく大酒を飲んでいたようです。 

お酒に強い人のほうがアルコール依存症になりやすいものです。

また、私も20代前半の頃、学校や家族とうまくいっておらず、嫌なことを忘れようとして、お酒を飲み、二日酔いになったりしていた時期がありました。 
現在も、たまに(月1回程度)、憂さ晴らしのような形で飲んでしまうことがあります。 


さきほど言いましたように、安定剤がわりにアルコールを飲むのは危険な徴候です。

これだけ書くと、私たちは、あきらかにアルコール依存症のようにも思えますが、朝から飲んだり、というのも、お正月くらいしかやりません。

自分がアルコール依存症でない理由をことさらに挙げるのは、アルコール依存症に非常によく見られる否認です。

そうだとすると、アル中は初期介入が重要だと言いますが、どうすればよいでしょうか? 

答は下の通りです。

私は、祖父や同僚にアルコール依存症の人たちがおり (彼らは仕事や家庭はあっても、毎晩、浴びるほど飲んでいたので、明らかに依存症でした) 、その病気の、本人やその周囲に、にじり寄るような悪影響や、破滅を、目の当たりにしています。 そうなる前にやめたいと思います。 

それを実行することです。それ以外に方法はありません。

しかし、彼の方は、連続飲酒をするような人がアル中、というような認識で、自分の飲み方はそれとは違うという意見で、あまり取り合ってくれません。 

さきほども言いました通り、自分がアルコール依存症でない理由をことさらに挙げるのは、アルコール依存症に非常によく見られる否認です。

以上をご参考にして、ご自分のとるべき行動を決めてください。


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