精神科Q&A
【0793】うつ病で治療中の母・・・悪性症候群ではないかと心配です
Q:
私は30代前半の女性です。私の母は62歳。仕事を引退した60歳頃から時々うつの状態がうかがえる時があったのですが、すぐに回復していたので特に意識していませんでした。しかし、約1年前頃から急激にうつ症状が進行し心療内科へ受診しはじめました。(孫の手が離れたこと、私の弟の病気・退職・自立をやってのけたことで急にガックリきたと本人は言っています)
母の病状にあわせて抗うつ剤が処方されたのですが、飲み始めて3週間頃から38.0〜39.0度台の高熱が出るようになり、8日を我慢した後、熱が治まらないので怖くなり自己判断で薬をやめてしまいました。その後かかりつけの内科に病院をかえトフラニールの処方をうけましたが、10日を過ぎたあたりから再び高熱にみまわれ処方内容がリタリンに変更となりました。うつ病ということを考えると専門の先生に継続してきちんと治療した方が今後のために必要と思い、また、かかりつけの先生の薦めもあり、地元の心療内科を探し受診しました。前回の先生とは違って母の話をよく聴いてくださる先生で、今までの経過をふまえて抗うつ剤を処方してくれました。母はリタリンがかなり気に入っていたのですが、先生の方針でそれは徐々に減量し3週目からリタリンは中止して現在はルジオミールと眠剤の処方内容となっています。4週目になりルジオミールが増量になった4日目に再び同様の高熱がでるようになってしまいました。座薬でどうにか解熱しますが7〜8時間後にはまた体温上昇・・・の繰り返しです。主治医に連絡をとり増量になった分を減らして内服継続の指示をもらいましたが、本人は熱でかなり体力・気力ともに失っています。発汗もひどく熱上昇時の震えもかなりあります。意識障害はありませんが悪性症候群ではないかと心配でなりません。血液検査では感染症を疑うものはありませんでした。どうしたらいいのでしょうか・・・。このまま次回受診日まで指示された量の薬を続けるべきなのでしょうか。
林: 薬はすぐに中止してください。おっしゃるとおり、悪性症候群の可能性はあると思います。診断のためには血液検査の詳しい内容と、筋肉の状態などを知りたいところです。悪性症候群では、筋肉が障害されるため、その所見が血液に現れ、また外見的には筋肉が固くなるなどの徴候が見られるものです。高熱にこれらの所見が加われば、悪性症候群の診断はほぼ確実です。そして悪性症候群は、【0014】の通り、悪化すれば生命の危険もありますので、直ちに薬は中止しなければなりません。
悪性症候群が抗うつ薬の副作用として出ることは稀で、しかもこの【0793】のケースのように、薬の種類を変えてもまた出ることはさらに稀だと思いますが、ありえないことではありません。あるいは別の種類のアレルギー反応かもしれません。しかしいずれにせよ重大な副作用であることはほぼ確実です。【0014】にもお書きしたとおり、薬を飲み始めたら高熱が出たという場合には、次回受診日まで飲み続けるかどうかなどと迷う必要はなく、直ちに中止するべきです。そして受診予定日以前でも気にすることなく、直ちに病院に行き診察を受けるべきです。