精神科Q&A
【0744】うつ病の回復期の波(【0712】の続き)
Q: 【0712】で質問をさせていただいた、46歳の女性です。
あのあと、なかなか昼間の眠気やだるさがとれなかったのですが、そのことに罪悪感を感じる必要がないという、林先生のお言葉に、励まされました。
あの後、薬が増えたり変わったりしました。
まず、ルボックスの量が増え、50mg×2錠を朝晩飲むようになりました。
それでも、体のだるさや眠気がとれず、気分も悲観的なままが続いていたので、2週間後に薬が変わりました。ルボックスのかわりにパキシル20mgを朝晩1錠ずつ飲むようになりました。けれど、依然として状態は悪いままでした。
そして、3週間後に、トレドミン25とスルピリド50mgを1日3回飲むようになったのですが、飲み始めて4日目くらいに変化が表れました。朝起きたときの気分がずいぶんよくなっているのです。それにともなって、昼間もだんだん活動的に動けるようになり、あんなに食欲がなくて困っていたのに、とてもよく食べられるようになって、3kg落ちた体重が元にもどりました。
現在の状態は、たぶん、周りから見たら、普通の人に見えると思います。家事もてきぱきこなし、週3日パートの仕事に行き、休日はときどき外出できるようになってきました。これでこのままきっと元気になれるんだ、と思って喜んでいたのですが、10日ほど前から、また昼間の気分の悪さがもどってきました。
朝起きてすぐはいいのですが、しばらくしてくると、だんだんと気分が滅入ってきて、この世の中に楽しいことなどあるのだろうか、という気分になります。ときどきいらいらして、ものにあたりたくなります。
主治医の先生にこの状態を報告したところ、うつというのは、一直線によくなるわけではなく、良くなったり、また悪くなったりを繰り返して治っていくんですよ。大切なのは、悪くなったときに、やっぱりだめなんだ、と思わないこと。またそのうちよくなると思っていれば、よくなります、と言われました。
今の私の状態は、快方へむかっているのでしょうか?
昼間の気分の悪さは、ちゃんと薬を飲んでいれば、また徐々にうすれていくでしょうか?
また、たまらなく気分が悪くなったときに、こんなことをするといい、というお勧めなどがありましたら、お教えいただけるとうれしいです。
林: 主治医の先生が、「うつというのは、一直線によくなるわけではなく、良くなったり、また悪くなったりを繰り返して治っていくんですよ」とおっしゃるとおりです。うつ病の回復期には、揺り戻しという状態があります。うつ病の相談室のp.110からにお書きしたとおりで、時々あなたの書かれているような不調の小さな波が来るのはむしろ普通のことです。心配はありません。
今の私の状態は、快方へむかっているのでしょうか?
快方へむかっています。
昼間の気分の悪さは、ちゃんと薬を飲んでいれば、また徐々にうすれていくでしょうか?
うすれていきます。
また、たまらなく気分が悪くなったときに、こんなことをするといい、というお勧めなどがありましたら、お教えいただけるとうれしいです。
なにかをするというより、がっかりしないことが第一です。ですから、
大切なのは、悪くなったときに、やっぱりだめなんだ、と思わないこと。またそのうちよくなると思っていれば、よくなります
という、主治医の先生の言葉のとおりです。揺り戻しを経験されている回復期のうつ病の方に、私もほとんど同じ言葉でお話しています。