精神科Q&A
【0740】産後うつについて
Q:私は30代前半の女性です。
1年半前に出産し、それと同時に約１５年勤めていた会社を退職しました。
勤めていた会社は、とてもハード（朝８：００から夜中１：００頃まで毎日働いていました）で、出張も多く、多忙を極めましたが、とてもやりがいがあり、楽しいことも多々ありました。
しかしながら、こどもが生まれたら、このような仕事の仕方はとうてい無理だし、主人も1度家庭に入ってみたら？と言うので、出産と同時に退職しようと私も納得していました。
会社では、全力を出し尽くしたという達成感もありましたので、後悔も全くありませんでした。
専業主婦は、私の憧れでもあったので、とても楽しみにしていましたし、子育ては大変というけれども、私のしてきた超ハードな仕事に比べると全く楽な気がしていました。
ところが実際、こどもが生まれると、不眠症になり、3ヶ月頃から、うつ傾向になり、精神的に自分は 強いと思っていたのにこんな事になって、それがまた大変ショックでもありました。
心療内科で、産後うつと診断され、パキシルを処方していただき、徐々に回復に向かって行きました。
それから3ヶ月後くらいには、友達と会いたいという気持ちも出てきて、（それまでは人と会うのが辛かった・・・）久しぶりに、会社の同期と会いました。しばらくは、本当に楽しく時を過ごしたのですが、 カフェにある鏡をみてまた落ち込みました。明るく元気そうな友達の横にやつれたブサイクな私が映っていたのです。容姿に自信があるわけではありませんが、容姿を気にして落ち込むなんて事はなかったのでまたまたショックでした。主治医にそのことを話すと、『そうですか・・・』と言ってちょっと笑いながら そのことに関してはあまり何も言ってくれませんでした。
それからさらに6ヶ月が経って、ほぼ正常にもどったので薬を減らしていき、薬なしの生活になりました。
そのころ主人の転勤に伴って、引っ越しをしましたので、一旦通院を終了しました。
現在は、薬をやめて6ヶ月がたちました。以前のような落ち込みやうつ症状はないのですが、 以前と同じように、時々（1日２〜３回）息が苦しくなります。それと、時々あの鏡に映った自分を思い出し 憂鬱になります。それが生活に支障をきたすわけではないし、通院するほどのことでもないと思い日々を 過ごしています。
この時々の息苦しさと憂鬱は、まだうつが完治していないのでしょうか？この息苦しさと憂鬱の原因は何だと先生はお考えになられますか？また、このまま自然に治っていくのでしょうか？
林: 産後3ヵ月という時期にはじまったあなたのうつ状態の原因は、判断が難しいと思います。出産に伴うホルモンの変化や、初めての子育てという心理的なストレスなど、多くの要因があり、どれが最大かは決め難いからです。
現在は、薬をやめて6ヶ月がたちました。以前のような落ち込みやうつ症状はないのですが、 以前と同じように、時々（1日２〜３回）息が苦しくなります。
この息苦しさが、薬をやめて6ヵ月たったら再発したのか、それとも息苦しさだけはずっと続いていたのかがメールからは不明で、これは重要な情報です。どちらだったのでしょうか。前者だとすれば、薬の中断によるうつの再発が疑われますので、早急に受診して相談されたほうがいいでしょう。後者だとすれば、とりあえずは様子を見ていていいでしょう。自然に治っていくことも十分期待できると思います。