精神科Q&A
【0739】ルールを実行しないと気が済まない
Q:
私は29歳の女性です。
日々の生活において、ささいなことでも自分の中でジンクスというか、ルールを作ってしまって、それにがんじがらめになってしまい辛くて仕方ありません。
例を挙げると、
・テレビであるCMを見てしまったら悪いことが起こるに違いないから、もう一回同じCMを見るまでチャンネルを色々変えて絶対見ようとする。(同じのを見たら帳消しになるので)
・トイレットペーパーを使うときに、巻き取る回数が決まっていて、その回数以外巻き取ると悪いことが起こると頑なに思う。
・深呼吸の回数は一度に3回と決めている。
・寝るまでの寝返りの数も3回と決めている。
・新しい物に手を触れたら、あと2回触り直さないといけない。
などです。他にもその都度自分の中で色々なルールが思い浮かんできます。
それ以外にも、突然ひらがなの書き順が頭の中に出てきて、指で空中にそのひらがなを書かないと気が済まないのです。
これは転職活動の面接中や友人・家族と話しているときにも浮かんできて、集中することが困難です。
自分でもとても馬鹿げたこととは思いながらも、どうしても止めることができません。
これらのルールは数年前から多少はあったのですが、ここ1年くらいは特に酷く、起きてる間は常にこの考えに支配されています。こんな生活は正直とてもしんどく、疲れきってしまいました。
自分でも病的だと思い、精神科を受診しようと思っているのですが未だ決心がつかず、踏み出せないでいます。
これは病気なのでしょうか。もしも病気だとしたら、どんな病名が想定できますか?
よろしくお願いいたします。
林: あなたは強迫性障害です。強迫神経症と呼ばれることもあります。この病名で本などを調べれば、あなたの症状が典型的であることがすぐわかると思います。
自分でもとても馬鹿げたこととは思いながらも、どうしても止めることができません。
これがまさに強迫性障害の特徴で、こういう形の訴えは実に多いものです。
強迫性障害(強迫神経症)は昔から知られている病気で、かつてフロイトは実に見事な精神分析的な解釈をしていますが、現実には精神分析療法では強迫性障害は治りません。強迫性障害は、脳内のセロトニン系の変調が原因であることはほぼ確実で、現在もっとも有効とされている治療はセロトニン系に作用する抗うつ薬(アナフラニール、ルボックス、パキシルなど)です。精神科で治療を受けることをおすすめします。