精神科Q&A
【0729】60歳代で統合失調症(精神分裂病)はあり得ますか
Q: 私は34歳の女性です。私の母の事で相談なのですが、母は66歳です。
母は約6年前から被害妄想がひどくなり現実にはありえない内容の被害妄想を言うようになりました。
例えば、
・家の中の天井に犯人が住んでいる。その犯人が天井から降りてきて家の中をいたずらしていったり、食べ物を食べていったり、お風呂にも入っていく。更に寝ている時に自分の身体もいたずらしていく。
・寝て起きた後には犯人にやられてあそこがヌルヌルする。寝ている間に身体の腕や足に注射もされる。
・寝ている間に口の中に毒を入れられる。その毒はクロロホルムでそれを自分が寝ている間に犯人が天井からスプレ−で口の中に毒を入れてくる。殺されるようだ。)と言います。
・自分で車を運転して出かけると必ず犯人がつけてくる。部屋も盗聴されているとも言います。
普通の母になっている時もあれば、急にその症状が出てきて怒り興奮したり攻撃的になったりします。
年々、症状が一段とひどくなってきました。生活面では車も運転したり家事は普通にこなし自分の事は自分でできるのですが、最近は被害妄想の症状の時の母になってしまう時がほとんどです。
この様な症状がでた約6年前からは、夜は毎晩起きていて部屋中の扉やドアにイスやテ−ブルなどで出入りできないように囲ったり、部屋中のドアや窓に鍵をつけ全部鍵を掛け、更に防犯ブザ−も取り付けて暗い部屋で一人で起きていて、そこで少しでもうとうと寝たりしてしまった時には、やっぱり口の中に毒を入れられた。頭がぼやっとして物凄く具合が悪いから吐いてみたら胃から黄色い液体がでた。それには毒が入っている。やっていかれたからあそこがヌルヌルして気持ちわるいと言ってトイレに行ったり、身体の腕や足に注射をされて注射された所が痛いなどといいます。本人はまったく病識がなく、今迄も家族では保健婦の方々にずっと相談してきました。母をいくら病院に連れて行きたくても、母が自分は病気じゃないどこもおかしくないと言い張り精神科になど絶対に行かない。自分の言っている事は本当の事なのに何で誰も信じてくれないんだ。
と言っていましたが、先日やっとの事で医療保護入院させる事が出来たのですが、病院の先生から言われた母の病名が統合失調症(精神分裂症)と言われたのですが、母は若い頃はいたって健康で精神的な病気は一切した事がありませんでした。統合失調症はおもに若い方がなるものではないのかと疑問がありました。
60歳から66歳になるまでの年齢で統合失調症にはなるものでしょうか?
被害妄想で幻覚(実際にはありえない話)を本人には本当にあると主張しますが、この事がきっかけで私も今まで、いろいろインタ−ネットで調べたり、今回、図書館から統合失調症の本をかりて読んだりしたところ、母のような高齢での統合失調症は、若い時になっていて再発するというケ−ス以外はありえないと書いてありました。症状が似ている病気では他にも、精神的によっぽど強い衝撃があったとか、痴呆など、又は薬によって引き起こされるものなどがあると本には書いてありました。
母は30歳代から高血圧でずっと高血圧の薬を欠かさず飲んでいます。
私は痴呆ではないのかとも思ったりもするのですが、なぜなら母には幻聴はありませんでした。
高齢者で60歳〜66歳でも統合失調症になる事はあるのでしょうか?
林: 高齢者でも統合失調症(精神分裂病)になることは十分ありえます。お母様のケースも、もっとも考えられる病名は統合失調症(精神分裂病)だと思います。
統合失調症はおもに若い方がなるものではないのかと疑問がありました。
あなたのこの疑問は正しいです。統合失調症(精神分裂病)の発症は、若い年齢のほうが圧倒的に多いです。しかし、高齢になってから発症するケースもあります。ですから、
図書館から統合失調症の本をかりて読んだりしたところ、母のような高齢での統合失調症は、若い時になっていて再発するというケ−ス以外はありえないと書いてありました。
本に出ていたというこの記載は全くの虚偽です。
精神的によっぽど強い衝撃があったとか、痴呆など、又は薬によって引き起こされるものなどがあると本には書いてありました。
これは正しい記載です。
けれども、お母様のケースでは、経過と症状の内容から、やはり統合失調症(精神分裂病)がもっとも考えられると思います。治療は若い年齢で発症した場合と同じで、抗精神病薬が中心になります。
もっとも、他の病気の可能性も考えて、脳の検査(MRI、脳波など)も一応は受けておく必要はあるでしょう。