精神科Q&A
【0719】娘の命と治療方針、究極の選択に悩んでいます
Q:
境界型人格障害、摂食障害、薬物乱用(処方薬、下剤)で都会で一人暮らしをする23歳の娘を持つ母親です
摂食障害の発症は3年前からで、当時は都会で大学生でした最初は拒食から、6ヶ月ほどで過食嘔吐になり、地方にある自宅へ戻り、それからはリストカット、暴言暴力、自殺未遂、処方薬大量服薬などなど衝動的行動で診断書には、前記のような病名がつきました。
昨年、母親と一緒だと苦しいと言い、以前進学していた都会へと衝動的に一人暮らしを始めました。
しかしながら、食の異常は更にひどくなり、更には下剤の大量服薬を繰り返し、現在体重は30キロ程となりました。
パニックになると、夜だろうと、昼だろうと、「死んでしまう」「助けて欲しい」と、最初はその都度、母親の私はパートでもありますし、なんとか職場にお願いして休んでは駆けつけました。 あるいは本人が自宅へ戻ってくることを繰り返し、これが底付きかと何回も思いましたが・・・本人いわく「治ったら何をして良いか判らない・・・死んでしまいたい」と白黒思考・・・痩せ願望??、下剤の快感?
とらわれから抜けることができません。
治療は、昨年からようやく本人が継続治療をしはじめました。入院歴は過去2年前3ヶ月、1年前医療保護入院で1ヶ月(先生を激怒させ薬漬けになり、見るに見かねて退院させました)、その後更に薬物依存も加わり・・・(母親の私自身も共依存ということで家族療法と自助グループで治療しております。) 現在通院中の病院へも何回か入院させてもらいましたがいずれも、一週間ほどで本人が退院すると言い出したり又は強制退院になるように盗食したりということの繰返しです。
経済的にも精神的にも家族も限界で、なんとか共依存から脱するため、娘のコントロールに乗らない枠を決めたら、崩さない・・これを徹底して今年本人も命がけでコントロールしようと、親も命がかかっていることを承知で動かずに、枠を徹底して守って・・・でもどうしても危険そうな時は数回、そして最初に救急車で運ばれた先のDrからの呼び出しなど、地方から体が震える思いで上京してきました。
しかしながら、ここにきて遂に本人が30キロを下回る水準になり、この夏このままでは死んでしまうと、「死相」すら母親の私が感じる有様となりました。現在娘は、自宅にて静養中ですが、やはりひどい下剤乱用と過食嘔吐がだんだんに、エスカレートしてきています。
ここまでの家族療法と枠を決めたら崩さない、たとえ命がかかっていたとしても・・という方針でワーカーさんの指導できていましたが、現在はワーカーさんは「命が何より大切だから、最終的にどうするか決めるのはお母さんです」と言われました。 それは言われなくてもわかっていますから、断固たる決意をもってしても、前述のように何回も上京したわけですが迷っているのは、自宅のある地方(県)には、自助グループも治療施設もないこと、都会には自助グループがあるが、娘が一人暮らしをしながらそこに通えるほど症状が安定していない、入院治療が必要(下剤乱用を止めるため)と思えるのですが都会であってさえ娘を受け入れてくれる病院がないこと、だとすると娘の命が助かる可能性があるとすれば、私が娘と一緒に生活しながらなんとか、薬物乱用を止める手立てを娘と考えていく事しかない・と思い至りましたが。
ちょっと前まで、共依存していた母親の私が、娘の1部屋しかないアパートで再びの親子カプセルになることが果たして良いものかどうか、それをするためには、私が今まで培ってきた自分の仕事を辞めることでもあり、都会での私の仕事は娘とかかわることであるなら、その距離のとりかたが難しすぎないか、2,3日に1回ほどの頻度のパニックに、その都度新幹線で駆けつけるわけにもいかず究極の選択です。
主治医の先生は「わかりません」とおっしゃっています、もちろんDrであってさえ神ならぬ人間ですから承知しておりますが。当事者の母親は混乱するばかりで何もわかりません。どうぞアドバイスお願いいたします。
林: 非常に深刻な経過で、「究極の選択に悩んでいます」というあなたの記載は決して誇張ではないことがよくわかります。
ひとことでお答えします。
同居するしかないでしょう。
治療の原則からいえば、あなたもよく理解されているように、同居のマイナス面を否定できません。しかし、今は明らかに命がかかっている状況です。病気や治療の理論を超えて、同居に望みをつなぐ局面だと思います。