精神科Q&A
【0689】育児のストレスと診断されているのですが、統合失調症ではないでしょうか
Q:
私（女性30代）の友人の事で相談します。
友人は（女性30代）以前から、疑い深い性格ではあったと思います。人の気持ちの裏をかくというか、「あんな事を言ってるけど、きっとこう思ってるに違いない、私は分かる」と言う感じです。しかし、当時は生活に支障が出る程でもなく、性格の一部として納得もできる程度でした。性格も明るく、楽しい人でした。
しかし、今年の春頃から不可解な言動が見えてきています。
事の始まりは、同じアパートに住む住人への思いです。
子育てを通じて、色々な人と関わるのですが、ほとんど全員とトラブルを起こしています。初めは、大変なアパートだな、程度に話しを聞いていたのですが最近では知り合う人全てとトラブルを起こすというのは本人のほうに何か問題があるのではないか？と疑問を持つようになりました。
今ではアパートの人達がグルになって、自分のことを疎外していると言っています。
電話がかかってきたら、その向こうに何人も人がいて、自分の話を聞いて皆で笑ってるのではないかと心配になるそうです。
あと、「○○と言われたけど、遠回しに私に△△と伝えたいのだ。私には分かる。」
などといった言い方がとても多くなりました。
部屋の中に監視カメラがあるのではないかと心配になり、探した事もあるそうです。
自分の子供さえもグルになってるのではと思っています。
テレビの内容をみて、「なぜ自分の話をしてるのか」と恐ろしくなるそうです。
子供の絵本をみて、「自分の事がかいてある」と言います。
公園に子供を連れて一緒に遊びに行ったとき、ペンキで書かれた落書きを見て「ここに書かれている事は全て私の事なんでしょう！？」とかなり興奮していました。
ご主人が子供の幼稚園の先生と浮気をしていて、その先生にもうじき赤ちゃんが産まれる。（ご主人との間の子として）その子が産まれたら、私と離婚するつもりだ、と言います。（以前、ご主人がその先生の事を「かわいいな」と言った事があるようです）
最後は「みんなグルなんでしょう。みんな繋がっているのでしょう。どうして隠すの？本当の事を言って欲しい。」となります。
あと彼女は小さい頃、両親に虐待を受けていて、（ネグレクト、言葉の暴力、体罰等）かなり心に傷を持っています。今では自分の子供にも同じような事をしてしまっているようです。まさしく連鎖です。彼女の母親も病的な程のヒステリックです。彼女のおばさん（母親の妹）も精神科に入退院を繰り返しています。
月に一度ほど会いますし、電話もしますが、多くがこの話でエンドレスです。心配になった私はご主人に連絡をすると、ご主人もかなりまいっておられるようでした。そこで、精神科への受診をしました。友人も「こんなにつらい思いが治るのであればいくらでも受診したい」と前向きでした。
診断は、「育児の疲れからくるストレス」と言うことで、育児カウンセリングを受けています。（主治医の先生とは別のカウンセラーの方です）
そのマイナス思考な性格を治しましょうと言う話しが多いそうです。薬も処方してもらっています。でも薬は飲んだり飲まなかったりです。
私にはどうみても統合失調症のように思えてなりません。
本人には告知せずに、ご主人だけは本当の病名を聞いているのかなと思ったのですが、やはりご主人の方にも同じように伝えられているようです。素人考えなのですが、納得がいきません。ただ、小さい頃の虐待が原因のもので、統合失調症ではなく、先生の診断が正しいのかもしれません。
今では、そのカウンセラーの方とも信頼関係を築けていないようで、「通ってもあんまり意味がない」と通院をしていません。
私などの友人と話しをしてると、だんだん楽になり、表情も明るくなります。しかし、数日後にまた「死んでしまいたい。自分などいないほうがいい」となります。
彼女は統合失調症なのではないでしょうか？
今の病院に続けて通院する事をすすめた方がいいのでしょうか。
他の病院を受診させてみるべきでしょうか？
林: この30代の女性は統合失調症だと思います。周囲の人間がグルになって自分を疎外している・笑っている・監視しているといった症状は、統合失調症(精神分裂病)に特徴的な被害妄想です。そしてこの病気は小さい頃に虐待を受けたことが原因ではありません。したがって、
そのマイナス思考な性格を治しましょうと言う話しが多いそうです。
このようなカウンセリングでは治りません。このままでは悪化していくでしょう。抗精神病薬をベースとした統合失調症(精神分裂病)の治療が必要です。
精神科を受診して、
「育児の疲れからくるストレス」
と診断されたというのは、もしそれが本当だとすれば全く不可解なことです。症状が正確に医師に伝えられていないか、医師のほうが非常識なのか、そのどちらかだと思います。
育児カウンセリングを受けています。（主治医の先生とは別のカウンセラーの方です）
育児カウンセリングは全く見当違いの治療といわざるを得ません。(統合失調症の治療をしつつ、副次的に育児カウンセリングも行うというのならわかりますが)
ただし、友人であるあなたには本当のことが伝えられていないという可能性はあるかもしれません。
本人には告知せずに、ご主人だけは本当の病名を聞いているのかなと思ったのですが、やはりご主人の方にも同じように伝えられているようです。
とあなたはおっしゃっていますが、これが本当かどうかはわからないところです。たとえ友人であっても、ご家族は本当の病名を伝えないということはよくあることです。
しかしこれは最大限に今の病院に好意的な解釈を試みたもので、やはり見当違いな治療をされている可能性のほうが高そうです。それに、
今では、そのカウンセラーの方とも信頼関係を築けていないようで、「通ってもあんまり意味がない」と通院をしていません。
という状況では、当然ながら改善の見込みは全くありません。
私などの友人と話しをしてると、だんだん楽になり、表情も明るくなります。しかし、数日後にまた「死んでしまいたい。自分などいないほうがいい」となります。
統合失調症(精神分裂病)では自殺の率も高いです。このままでは危険です。他の病院の受診を強くおすすめします。