精神科Q&A

【0084】 アルコールでてんかんが起きた


Q(30)のことでお尋ねします。妻とは3ヶ月前に結婚したばかりなのですが、結婚して1ヶ月ほどたったある朝、彼女がキッチンで仰向けになり、脚を伸ばし、全身を痙攣させ、口から血を流して倒れていました。救急車で入院し、その日は何事もなかったのですが、翌日の夜になって、幻覚や妄想症状が出てきました。たとえば、「この病院の調理場では、たまねぎをみじん切りにする時に、口で噛み切っている。気持ち悪くて私は食べれなかった。」などと気味の悪いことを言うのです。このときになって、妻はアルコール依存症であることを妻の両親から聞かされました。幻覚や妄想は数日でおさまり、今後アルコール依存症の治療をするべきであると思うのですが、症状が消えてからでは診断できないと考え、病院には連れていっていません。また、こうした幻覚や妄想は、アルコール依存症によるものと判断していいのでしょうか。統合失調症(精神分裂病)など、ほかの病気ではないでしょうか。統合失調症(精神分裂病)でも、慢性期から急性期に移行する時期にてんかん様発作を起こすことがあるということも本で読んだのですが・・。

 

: 奥様の症状は、けいれんに関してはアルコールてんかん、幻覚に関してはアルコール幻覚症と診断できます。いずれもアルコールが原因です。統合失調症(精神分裂病)など、その他の精神疾患の可能性は低いと思います。

アルコールてんかんは、アルコール離脱症状のひとつです。離脱症状というのは、俗に言う禁断症状で、大量にアルコールを飲む習慣を続けていた人が、飲むのを中断したときに、アルコール血中濃度の低下に伴って出る症状です。飲酒の中断から48時間以内に出るのが普通です。離脱症状が出るということは、それだけでアルコール依存症と診断して間違いありません。

アルコール幻覚症は、離脱症状として出ることが多いのですが、飲酒を中断してからもっと時間がたってから出ることもあります。

いずれにせよ奥様の症状はアルコール依存症によるものです。治療のためには断酒しかありません。飲む量をコントロールするというのは、この段階では無理です。

症状が消えてからでは診断できないと考え、

そんなことはありません。受診して、断酒のための治療を始めるべきです。

それから、統合失調症(精神分裂病)でてんかんのようなけいれんの症状が出ることは原則としてありません。けいれんではなく、急な興奮ならあり得ます。そういう興奮を「てんかん様(てんかんよう)」と呼ぶこともありますので、おそらく質問者の方がお読みになった本に書いてあったのはけいれんでなく興奮という意味かと思います。


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