精神科Q&A
【0673】1年前から急に人格?が変わった母
Q:
私は27歳の女性です。48歳の母のことで相談させて下さい。
今までの生活というと、 父は飲み歩き、夜も帰ってこないという状態で、 私もそんな家庭を振り返ろうとはせず、友達と遊ぶ事ばかりをしていました。
そして3年程前、かわいがっていた愛犬が死にました。
そういう事が原因なのか、1年前くらいから母の様子がおかしいのです。
私は1年前に結婚して家を出ましたが その時にも おめでとう!と言っていたかと思えば、翌日は 「今まで散々苦労をかけられて、今更、祝福してくれだなんていい加減にしろ」とか 「あなたの結婚が嬉しいわけないでしょう あたしには関係ない」だとか 「私は子育て(私を育て)をしていて青春がなくなった!私の青春返して!」など、今まで普通に話していたかと思えば 顔色を変え、すごい勢いで食ってかかってきます。
でも、その数分後、その翌日には、またケロッとしています。
また何か楽しく笑顔で話をしていても、最後は 感情的になり、いつもの自分の不満を持ち出し、文句で話が終わります。
全てが否定的に、突然変わるのです。
今まで明るく笑っていたかと思うと 今度は自分がされた事を思い出しては(何年、何十年も前のこと)、それを並べ、父や私にあの時は、こういう事をされた、誰も私を助けてくれなかった、だから私には関係ない!・・・・ などと攻撃的になるのです。
何か1つ、彼女にとって気に入らない事をされたり言われたり(彼女と違う意見などを言われたり)すると今まで以上にすごい顔をし、逆上します。「私に指示をするな!」というふうに変わってしまうのです。
それが今では家庭内だけでなく、外でもそういう行動をするようになりました。
つい最近、母の弟の結婚式があったのですが、(もともと結婚には賛成ではなかったのですが) その時にも、今まで良い職業だと誉めていた弟の職業(公務員)をみんなの前で否定したり、弟の人格を否定するようなことまでを言い、最後は、相手の両親に食ってかかるという行動まで起こし皆が「お幸せに!」という掛け声に「幸せなんてナイナイ」とすごい顔をし、本人の前で否定する始末。
そんな皆が唖然とする行動をしてもその後は、何も無かったように振る舞います。
人の不幸には、必要以上に賛同し 人の幸せには、否定をします。
ずるい!私はそんな思いをしていない!平等じゃない!と血相を変えたように瞬間だけ逆上します。
「子供なんて生まれたら苦労するだけ」
「結婚なんてするもんじゃない」
と、事あるごとに、否定を続け、その時ばかりは感情的に、また鬼のような顔をして言い続けます。
気が済むとおさまる、、、そんな状態です。
最近では、歯磨きが大事だと言って
30分でも1時間でも歯磨きを持って、磨いています。
それを1日何度も繰り返します。何か口にした後は必ず、出かける前にも必ず。
病気じゃないのー?って軽く言っても
「違う・・・歯を磨かないと虫歯になる、そうなったら困る!」と言うのですが・・・
ただ、いつもは母オーバーリアクションで、 元気いっぱいが 彼女のトレードマークでした。なので、どこまでがおかしくて、どこまでが正気なのかも 私も妹もわからないんです。
病気じゃないかと思ったのは1年ほど前からなのですが、彼女自体は、ひどい事を私や家族に言いますが次の日にはケロッとしています。
本人は覚えているのか 悪いと思ったのか、それさえわかりません。
このままでは、関わりたくない、縁を切りたいとまで思ってしまい 悪化するばかりです。
ただの不安定という言葉で片付くのであればいいのですが、何か病気なら、解決策を教えていただきたいのです。
犬が死んだ時には、骨壷をあけて、お骨を組み立てていました。
今でも犬はいないのに、「おなかちゅいたね〜おねんねしようか」と赤ちゃん言葉で話します。
何かあると必ず、「てって」「あんよ」などと 日常会話でも出してきます。
今まで、まわりはその起伏の激しさに付き合ってきたのですが、それではいけないのではないかと 思っています。
これは病気なのか、何かいいアドバイスがありましたら ご連絡下さい。
毎日、こんなことばかり考え インターネットなどでこの症状は何かを調べているのですが 素人の私には全然わかりません。人格障害なのでしょうか?
何をしていても集中出来ず、お皿を割ってしまったり、落ち着かない日々が続いています。
お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
林: 確かにお母様の言動は正常とは言い難いものだと思います。
人格(性格といってもほぼ同じです)の極端な偏りが若い年齢から続いている場合に、人格障害という診断名をつけることがあります。この【0673】のお母様のケースでは、かつてどのような方であったかの詳細が不明ですが、
1年前くらいから母の様子がおかしいのです。
という記載が、それより以前のお母様の人格とははっきり違ってしまった、ということを意味されているとすれば、人格障害ではなく、人格が変化したというべきでしょう。ペットの死、娘であるあなたの結婚などの出来事があったとはいえ、それだけでこのような極端な言動の異常が現れ、しかも持続(それどころか悪化)しているというのは、やはり病的だと思います。状況に対する単なる反応とは思えません。可能性としては、脳の器質性疾患です。たとえば痴呆の初期には、それまでの人格が極端な形になったり(これを人格の尖鋭化といいます)、人格が変化したりすることがあります。お母様は48歳ということですので、痴呆の発症年齢としては若すぎますが、ありえないことではありません。アルツハイマー病のような通常の痴呆性疾患の他にも、いろいろな脳の変性疾患(脳の神経細胞が死んでいく病気)も考えられます。また、脳腫瘍でも、その部位によっては人格の変化だけが表面に出ることがあります。このような病気の診断には、医師による神経学的な診察に加え、MRIなどの画像診断が必要です。精神科か神経内科の受診をおすすめします。