精神科Q&A

【0664】脳内出血後のけいれん発作


Q:  私は27歳男性です。てんかんについての質問です。
私半年前、仕事中に急にロレツがまわらなくなり、救急車で病院に運ばれました。診断は脳内出血でした。原因は脳動静脈奇形でした。そして入院してから3週間後、その脳動静脈奇形部分を手術にて全摘出しました。
 それからしばらくは何事もなかったのですが、手術から2ヶ月後、突然意識消失を伴う痙攣発作。以後ヒダントール一日2回服用を開始しました。
が、その後3ヶ月の間にさらに3回の痙攣発作があり(ただしいずれも意識消失はありませんでした)、そのたびに薬が増え、現在はヒダントール一日3回、テグレトール一日3回を服用しています。

結局、今までに痙攣発作は計4回あったことになります。けれども意識消失があったのは始めの一回だけで、自分的には発作が軽くなってきている気はします。とはいっても、薬を飲んでいても発作が起こるというのは重度のてんかんなのでしょうか? 私の薬は十分な量なのでしょうか? もし十分だとすると、薬では治らないのでしょうか?

今は休職中で疲れやストレスもほとんどありませんし、ある程度規則正しい生活をしています。お酒も飲んでません。この状態でさえ発作があるということは、仕事復帰して元の生活になれば発作の回数も増え、重い痙攣発作が起きるのでしょうか?

 単純に、私のようなてんかんは治りますか? 毎日、発作が起きるんじゃないかという不安にかられて生活しています。元々心配性なせいか、ほとんど外にも出てません。私は元の生活が出来るようになるのでしょうか?
 少しでも安心と希望が持てるような回答が頂けましたら幸いです。よろしくお願いします。

: まずは脳動静脈奇形の手術が無事に成功してよかったと思います。28歳というあなたの年齢で脳出血が起こるのは、大部分が脳動静脈奇形によるもので、場合によってはそこからの一回目の出血で命を失ったり、あるいは出血の後遺症として重度の麻痺が残ったりすることがあります。あなたのケースでは、出血が比較的軽く、またすぐに病院で適切な治療を受けることができたようですので、まずは幸運だったと考えることができます。

といっても、その後何回も痙攣発作が起きており、

毎日、発作が起きるんじゃないかという不安にかられて生活しています。

というように、これからのことを心配されるのもよくわかります。
けれども、手術から約半年の現時点では、まだ痙攣を抑えるための薬を調整している時期だと考えるべきでしょう。

今までに痙攣発作は計4回あったことになります。けれども意識消失があったのは始めの一回だけで、自分的には発作が軽くなってきている気はします。

ということは、徐々に薬の効果が出ていると判断できます。もっとも、脳の手術の後の痙攣発作は、必ずしもずっと続くものではありませんので、日がたつにつれて自然によくなってきているという可能性もあります。

とはいっても、薬を飲んでいても発作が起こるというのは重度のてんかんなのでしょうか? 

そういう判断はできません。薬の量が適切かどうかがまず問題になります。

私の薬は十分な量なのでしょうか?

これは残念ながらあなたのケースでは判断できません。ひとつは、薬の量が不明です。
「ヒダントール一日3回、テグレトール一日3回」と書かれていますが、ヒダントールは・・・と・・・を合成した薬で、ヒダントールD、ヒダントールE、ヒダントールFの3種類があり、それぞれ含まれる薬の量がかなり違いますので、あなたの処方がどの程度のものかわかりません。また、テグレトールも100mgと200mgがありますので、結局のところあなたの薬の量は不明です。
 また、薬の絶対量がどうかということに加えて、てんかんの場合は脳波の所見がどうかということが、薬の量が適切かどうかの判断の基準になります。つまり、実際の発作の起こり方に加えて、脳波のてんかん性の異常の有無や程度によって、薬の量が決まることになります。メールには記載されていませんが、あなたのケースでも当然脳波検査を何回か受けていることと思います。その脳波所見が、あなたの状態を判断する大きなデータになります。

 まとめますと、脳手術から半年の時点では、治りにくいてんかんかどうかという判断はまだできません。もっとも、徐々に発作は軽くなってきているということは、楽観的な要素になります。薬が十分かどうかについては、脳波所見がなければ判断できません。

それからもうひとつだけ付け加えます。メールの最後のこの一行についてです。

少しでも安心と希望が持てるような回答が頂けましたら幸いです。よろしくお願いします。

精神科Q&Aに質問する方へにお書きしてあるように、このサイトでは事実を回答することが第一の方針です。質問者を安心させることを目的とした回答はいたしません。結果的に私の回答が安心につながればそれは非常に嬉しいことですが、決してそれを目的とした回答ではないということです。ですから上記の回答も、単なる事実です。それによって希望を持たれるか、逆に失望されるかは、あなた次第です。


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