精神科Q&A
【0640】祖母が転倒後、意味不明のことを話している
Q: 82歳の祖母(一人暮らし)は以前から腰が悪く、歩行器や杖を使って生活しているのですが、先日(おそらく夜中なのですが)歩行中に玄関へ歩行器ごと突っ込んでしまったそうなのです。
翌朝、父が家に行くと、そのままの状態で倒れており、意識ははっきりしていましたが、
「インド人が見ていた」
「海岸に連れて行かれていた」
「家の掛け軸なども中国人に持っていかれた」
など、意味不明の事を話していたそうです。
今日時点の話しですと、少しずつ自分の中では(夢だったと)理解しつつあるそうなのですが・・・祖母に何が起こってしまっているのでしょうか。
林: これはせん妄(せんもう)です。
せん妄とは、脳に何らかのダメージが加わったときに一時的に生じる意識障害の一種で、幻覚や興奮をしばしば伴います。ですから、
意識ははっきりしていましたが
というのは誤りで、これは軽い意識障害の一種です。おそらくお祖母様は頭を打ったのでしょう。
特に高齢者の場合は、老化により脳全体の機能が低下しているため、少しのダメージでせん妄になりやすい傾向があります。多くは自然によくなります。特に薬を飲んだりする必要はありません。
ただし、
先日(おそらく夜中なのですが)歩行中に玄関へ歩行器ごと突っ込んでしまったそうなのです。
という経緯ですので、頭を強打し、硬膜下血腫ができている可能性もあります。硬膜下血腫は、最初の症状は軽くても(あるいは最初は全く症状がないこともあります)、徐々に大きくなって脳を圧迫して様々な症状が出てくることがありますので、CTやMRIなどの検査を受ける必要があるでしょう。