精神科Q&A
【0638】統合失調症の友人が、かなり回復したがまだまだ困らせることが多い
Q: 31歳(女性)の友人の事でご相談です。
7年前に統合失調症で1ヶ月程入院。会社を退職後、自宅と親戚宅で静養し、ここ2、3年で徐々に社会復帰を果たしています。
この7年間で、「頭にチップを埋め込まれている」「週刊誌の記者が張り込んでいる」等々の妄想もあったのですが最近は薬もきちんと飲み落ち着いています。
ただやはり気持ちの浮き沈みが激しく、ささいな事に動揺、激高し、私も含め複数の友人に同じ内容(会社内の同僚とのささいな会話)で電話をかけ意見を求められます。
私なりに今まで、友人の病気を理解しようと努力はしたのですが、最近、私(同年、女性)に対する暴言がとても酷く悩んでいます。とにかく私自身が気に入らないようで突っかかってきます。
「整形手術をしただろう」と会うたびに執拗に食い下がられ(私はしていません)ほとほといやになりかけているのですが、もともとはとても良い子だったので嫌いになりたくないのです。
これから私は彼女とどう接していけば良いのでしょうか?
私が彼女の回復の妨げになっているのでは?
などと考える今日この頃です・・・
ちなみに彼女のご両親共に他界されています、兄弟もいません。
林: この方が統合失調症(精神分裂病)であること、またこの病気のことを、あなたは十分に理解され、それでも対処に困っておられるということだと思います。統合失調症(精神分裂病)ではご本人に病識(自分が病気であるという認識)がないことがしばしばあるため、このように周囲の方がお困りになることが起こりがちです。
最近は薬もきちんと飲み落ち着いています。
とのことですが、ここにまず基本的な問題があります。今の状態は落ち着いているとはいえないでしょう。被害妄想があることは明らかです。そうなりますと、薬をきちんと飲んでおられるかどうかも疑問になります。薬をきちんと飲んでいるとあなたが判断している根拠は何でしょうか。他人には決して判断できないことではないでしょうか。
現状を改善するには、結局は適切な治療ということにつきます。薬をきちんと飲んでいないことがまず考えられ、次に考えられるのは薬を飲んでいるとしてもそれが不十分だということです。そして、どちらだとしても、主治医が今のこの方の状態を正確に把握しておられるかどうかという問題があります。
ですからあなたにできることとしては、この方の現状を報告する手紙を主治医に出すことだと思います。医師は患者についての相談を他人から受け付けることはまずしません。しかし、手紙での片道の報告ならまず受け入れる、少なくとも読んではくれるでしょう。それがより適切な治療に結びつく可能性は十分あります。手紙で報告することをお勧めします。