精神科Q&A

【0614】パニック障害の処方に抗不安薬を加えるべきか


Q: 32歳女性です。10年以上前に電車の中で何回も発作を起こして、怖くて電車に乗れなくなりそのとき不安神経症といわれました。精神科とカウンセリングで、地下鉄に乗れるまでに回復したこともありますが、発作を起こすたびにまた乗れなくなります。これまで、引っ越したりして、病院をかえてきました。今年の一月パキシルを毎日1錠のんでいるにもかかわらず、電車の中で、突然電車から降りれないことに異常な恐怖を感じ窓を開けると、でも走っている電車から降りると死んでしまうという恐怖も重なりひどく怖い思いをしました。窓から身を乗り出し、冷たい風に当たるうちに発作はおさまりました。数週間後またどうしても仕事の必要上から電車にのってみると、またその発作がおき、それ以来怖くて電車に乗れません。ずっと各駅停車以外は乗れないでいましたが、その各駅停車の乗れず困っています。先生に相談したところ、パキシルを2錠に増やしてくれましたが、一向に恐怖は消えません。日常生活では特に不便は感じません。

 本を読むとどうも私の薬は少ないように感じます。パキシルはいい薬らしいですが、他に抗不安薬を飲んだほうがいいのではないでしょうか。よい薬を紹介していただければ、主治医に相談してみたく思います。宜しくお願いします。


: パニック障害に対しては、抗不安薬抗うつ薬、あるいはその両方を併用するのが普通です。どんな場合でも薬は必要最小限に、という原則からすれば、抗うつ薬のパキシルだけでいくというあなたの治療方針は正しいといえるでしょう。このままでよくなっていく可能性は十分あると思います。そうしますと、今後どうするべきかは、いま現在の症状であなたがどれだけお困りかということにかかってきます。

日常生活では特に不便は感じません。

と書いておられますが、その一方で、

各駅停車の乗れず困っています。

と書いておられるので状況がつかみかねますが、もし電車に乗ることがあなたの日常生活で必要なことなら、これはやはり日常生活に不便があると解釈してよろしいでしょうか。また、

一向に恐怖は消えません。

という文章、さらにこうしてメールで質問されていることからも、やはりいま現在このままではお困りで、単に現在の処方で回復を待つという方針では不十分であると解釈いたします。
 だとすると、ここは抗不安薬を追加すべきところでしょう。抗不安薬は、抗うつ薬に比べて速効性があります。ですから、あなたのケースでは、電車に乗る前だけに飲むとか、電車内で不安が出てきたときだけに飲むとかの方法も考えられます。また、一度でも抗不安薬が効くという経験をされると、その後も抗不安薬を持っているだけで安心でき、結果的には薬を飲まなくても大丈夫というのもよくあることです。抗不安薬を試してみることをお勧めします。


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