精神科Q&A
精神症状の中でも、統合失調症(精神分裂病)の陰性症状は、ご家族をはじめとする周囲の理解が非常に得られにくいもののひとつです。慢性的で、しかも病気の症状と見えにくいことが大きな理由です。この質問者のように、「だらしなくしている様にしか思えない」という方も、少なからずいらっしゃるのは事実です。
私が医師になってまだ日が浅いころ、陰性症状を病気と認めないご家族と喧嘩になったことがありました。私のほうから見れば、家族が病気を理解しないために患者さんの回復が阻害されている、困った家族だというわけです。ご家族のほうから見れば、病気を理由にさぼっている患者を甘やかす、困った医師だというわけです。
もちろんこの場合、客観的には私のほうが正しいことになるのですが、それを強く主張したところで事態が好転するはずはなく、結局このご家族もご本人もそれが最後の受診になってしまいました。(他の病院で治療を続けていることを願っているのですが・・)
そういうこともありますので、実際の臨床場面では、病気であることを認めようとされないご家族(やご本人)に対して、力づくでもその認識をあらためされようなどとはせずに、状況に応じてそれなりの説明をすることにしています。おそらく多くの精神科医がそうしていると思います。
ですが、このサイトでは事実を伝えるという方針を取っているため、前ページの回答になったという次第です。