精神科Q&A

【0595】摂食障害か強迫性障害か統合失調症か


Q:  現在20歳の摂食障害の娘は、高3から吐かなくなり体重はどんどん増えました。その頃から食べた物をメモしたり、地名にこだわるようになりました。おなかがすいてもこだわりが強く食べるものがありません。それでまたお腹がすいたとわめき、物にあたります。そのうち手洗いが始まり統合失調症と診断され入院しました。電車に乗るとみんなが自分の事を太ってると言ってるとも言います。ただ、話のつじつまが合わないなどの症状はなく、食べ物の事以外は全く普通と変わりません。
別の病院で強迫神経症の重症例かもともいわれました。薬は同じ物を使うそうです。
母親への依存が強くべったりですが、会話は多く母親の言うことはききます。今は穏やかですが本人に病識がなく 薬を飲まないのでデポ剤を打ってもらっています。
やはり統合失調症でしょうか?薬を飲まないと悪化するのでしょうか?


: これだけではわかりません。ただいえることは、こうしたケースは稀ならずあるということです。摂食障害(特に拒食症)自体が、体重に過度にこだわることから、強迫症状の一種であるという見方もありますが、摂食障害の方では、体重だけでなく、この【0595】の方のように、食べ物以外のことに病的にこだわりを持つ場合もあります。その程度が強いと、はたして摂食障害だったのか、それともはじめから強迫性障害で、その表れのひとつが摂食障害だったのか、よくわからないということになります。(もっとも、現にあらわれている症状そのものが重要なのであって、このように考えることにはあまり意味がないという意見もあります)

さらに、統合失調症(精神分裂病)の初発症状が強迫ということもあります。20歳前後の方で、それまでは特に物にこだわる傾向のなかった方に、奇妙な強迫症状が出てきたような場合、特に統合失調症(精神分裂病)が疑われることになります。このとき、被害妄想的な面もみられると、ますます統合失調症(精神分裂病)らしいということになります。

以上の観点からすると、この【0595】の方は、確かに統合失調症(精神分裂病)の可能性があると思います。抗精神病薬のデポ剤は、治療の選択肢として適切だと思います。
ただし、最初にお書きしたとおり、このメールだけの記載では何ともいえません。もっとも、このようなケースでは、詳しい症状がわかっても、やはり何ともいえないということがままあります。慎重に症状を観察しながら、治療を続けることだと思います。


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