精神科Q&A
【0075】 精神障害者の犯罪について
Q: 精神障害者が社会復帰をしにくくなっていることの理由のひとつに、偏見があると思います。たとえば、各地で精神障害者のための施設を作ろうとすると、地元の住民に反対されることが多いようです。おそらく精神障害者は犯罪を犯しやすく危険であるという偏見があるのだと思います。実際はどうなのでしょうか。「危険ではない」と住民を納得させるような答がほしい思います。
林: 精神障害者の犯罪の率は、統計的には健康な人と同じ程度かそれ以下です。一面的な報道や精神障害に対する誤った知識のために偏見が助長されているのは確かです。多くの精神障害の患者さんは、何か関連する事件が報道されるたびに肩身の狭い思いをされていて非常に気の毒だと思います。
しかし、精神障害と犯罪については、単純な統計では解決できない問題が色々あります。これについては冷静な議論が必要なところです。極端な人は、「精神障害者は怖い、危険だ」と決めてかかっています。最初からそう決めつけられるともう議論にならないのはもちろんです。けれども、あえて申し上げますが、ご質問にあるように、「危険ではないと住民を納得させるような答がほしい」というのも、逆の意味ではひとつの決めつけであって、やはり議論の出発点としては不適切だと思います。どんなことでも、事実は事実として直視してはじめて、本当に意味のある発展につながっていくでしょう。それが結局は患者さんを含めた皆のためになるでしょう。
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