精神科Q&A
【0568】自分が精神分裂病(統合失調症)であることに甘えているのでしょうか
Q: 【0300】でお答えいただいた27歳(現在28歳)女性です。その節はありがとうございました。
その後私は、無事に障害年金をもらいクリニックにも通い最近は働きたいと思うようになりました。その事をクリニックに伝えると精神科等に通院している方のための働き先を紹介してもらいました。
ところが実は、働きたいと思い続けてから半年にもなりその間私は何の行動も取れないでいます。仕事の事を考え出すと気分が悪くなり、恐怖心と不安で行動が取れません。自分では良くなってきて働けると思っているのに体が拒否します。クリニックの先生は、「まだ体を休めなさいと自分の体が教えてくれているんだよ」と言います。私は母と２人暮らしで去年母が仕事を退職しました。そのため私が働かないと生活が苦しいので早く仕事が出来るように病気と向き合い自分なりに努力してきたつもりです。でも母からいつも「ダラダラしている」と言われ「病気に甘えている」とののしられて落ち込む事もあります。病気に甘えているつもりはありませんが家族が見てそのように言われてしまうのは私が気づかないだけで甘えているのでしょうか？私は少し薬の量も減り自分なりに良くなっていると思います。働きたいと思う気持ちに嘘もありません。せっかく減ってきた薬を増やして体がだるくなるのも嫌です。今の薬の量のまま働きたいと思っています。仕事の事を考えると体調が悪くなるのは良くなっていないからでしょうか？それとも病気に甘えているのでしょうか？何年も働かずにいるとたとえ病気でも家にも居ずらくなりどうしたらいいのかわかりません。不安や恐怖心があるのに我慢をして行動をとると悪くなる可能性はありますか？悪化して自分が辛い思いをするのが嫌だと思う私はずるいですか？
林: 甘えているのではないと思います。精神分裂病(統合失調症)の方は、自覚的にも他覚的にもかなり良くなったように見えても、いざ働こうとすると今ひとつ力が出ないことがあります。仕事に限らず、それまでの状態から一歩踏み出すことが、想像以上にエネルギーを要するのです。これは陰性症状の現れとみることができます。
この時期には、幻覚や妄想のような目立つ症状がないので、周囲の方はあなたのお母様のようについ甘えているというような印象を持ってしまうものですが、無理は禁物です。早く働きたいという事情は理解できますが、「不安や恐怖心があるのに我慢をして行動をとると悪くなる可能性」は、やはりあります。今できることから順々にやっていくことをお勧めします。まずは家の中の仕事、次には負担の少ないアルバイト程度から始めるのがいいと思います。