精神科Q&A

【0541】トレドミンでやけど?


Q30歳男性、会社員です。半年前からうつのため精神科に通院中で、トレドミン、デパス、レンドルミンを飲んでいます。幸い薬が効いており、当初から会社を休むこともなく、徐々に改善を自覚しております。ところが、2004年12月の新聞で、抗うつ薬のトレドミンを飲んでやけど(?)になったという記事を読み、このまま飲み続けていいのかと不安になってしまいました。新聞にはかなり重症のやけどのようなことが書いてありました。トレドミンはそれほど危険な薬だということでしょうか。あまり長く飲み続けると、やけどのような症状が出る可能性があるのでしょうか。

: 私もトレドミンの記事は新聞(Yomiuri On-Line, 2003/12/26/01:23)で読み、また製薬会社からの報告文書ももらいました。この副作用は、スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜目症候群ともいいます)と呼ばれるもので、皮膚の症状が主ですが、やけどではありません。薬に対するアレルギーとして起こるもので、皮膚や口の中の発疹や、目の充血が主な症状です。このような症状が出たら薬を中止することが必要で、中止しなければ重症化します。ひとことでいえばこれは薬疹の一種で、どんな薬でも現れる可能性があります。市販の風邪薬でももちろん出ることがあります。ただしアレルギー反応ですので、あなたのようにもう半年も飲み続けている人に、この後に出る可能性はほぼゼロです。心配せずに今の治療を続けることをおすすめします。

 ひとつ不可解なのは、なぜこんなことが新聞に出たのかということです。いま解説したように、どんな薬でも出る可能性のある副作用ですから、ニュース性はまったくないはずです。しかも、トレドミンの添付文書には、スティーブンス・ジョンソン症候群の可能性については、この記事が出る前から記載されていますから、いまさら記事になるというのもおかしな話です。おそらくこれは、この記事を書いた記者がよほど無知であったか、あるいは何か特別な意図があったかのどちらかだと思います。


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